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あくびが頻繁に出てしまい、人知れず悩んでいる方も多いでしょう。会議中や仕事中にあくびが続くと、集中力が途切れるだけでなく、周囲の視線が気になってしまうものです。止まらないあくびは、単なる眠気ではなく、体からのサインである可能性があります。特に、関係が深いとされているのが、自律神経のバランスの乱れです。
この記事では、あくびが頻繁に出る理由を自律神経との関係に焦点を当てて、分かりやすく解説します。さらに、専門家の監修のもと、今日から取り入れられる改善策や、自律神経を整えるための具体的な方法も紹介します。あくびへの不安を軽減し、心身ともにすっきりとした毎日を目指すためのヒントを見つけていきましょう。
あくびが止まらない原因|自律神経との深い関係

あくびが止まらない状態は、単なる眠気や疲れだけでなく、体の内側で起きている変化を知らせるサインである可能性があります。特に、自律神経のバランスの乱れは、頻繁なあくびと深く関係する要素の一つです。
ここでは、あくびが起こるさまざまな原因と、自律神経がどのように影響しているのかを分かりやすく解説していきます。
生理的なあくびと注意が必要なあくび
あくびは、眠気や疲れを感じたとき、また退屈な状況にあるときに自然に起こる生理的な反応です。
一方で、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、特に眠くも退屈でもないのにあくびが続く場合は、単なる生理現象とは言い切れません。その背景には、体の内側、とくに自律神経のバランスの乱れが関係している可能性があります。
あくびが自律神経の乱れと関連する理由
自律神経は、心臓の動きや呼吸、消化、体温調節などを無意識にコントロールし、体の状態を安定させる役割を担っています。このバランスが崩れると、さまざまな不調が現れ、その一つとしてあくびが増える場合もあるでしょう。
自律神経が乱れると、脳へ十分な酸素が行き渡りにくくなり、体温調節にも影響が出やすくなります。また、活動時に優位になる交感神経と、休息時に働く副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、あくびが出やすい状態につながると考えられています。
脳への酸素供給と体温調節
あくびは、脳の働きと密接に関係しています。脳への酸素が不足したり、脳の温度が上がったりすると、体はあくびによって状態を整えようとします。口を大きく開けて深く息を吸い込む動作によって新鮮な空気が肺に入り、血液中の酸素濃度が高まる仕組みです。その酸素が脳へ運ばれることで、脳の働きが活発になると考えられます。
さらに、あくびによって顔や顎の筋肉が大きく動くと、脳周辺の血管が刺激され、血流が促されるでしょう。その結果、脳の温度を下げる作用も期待できます。
自律神経が乱れると、血流や呼吸のリズムが不安定になり、酸素の供給や体温調節が十分に行えません。この状態が続くと、脳の環境を整えようとする反応が強まり、あくびが出やすい傾向にあるでしょう。
交感神経と副交感神経のバランス
自律神経は、活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の2つで構成されています。これらは通常、バランスを保ちながら体の機能を調整していますが、ストレスや生活リズムの乱れが重なると、その均衡が崩れ、さまざまな不調が現れやすくなる点が特徴です。
とくに、ストレスによって交感神経が過剰に働いた状態が続くと、体は常に緊張しやすくなり、疲労が蓄積しやすくなります。この疲れを和らげるために副交感神経を優位にしようとする反応が起こり、その流れであくびが出やすくなるでしょう。
さらに、強い緊張状態から一気にリラックスへ切り替わる場面でも、副交感神経が急激に働き、あくびが頻発する傾向が見られます。
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あくびが止まらないだけではない|自律神経の乱れで現れるその他の症状

自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体のあらゆる機能を調整する重要な役割を担っています。心臓の動きや呼吸、消化、体温調節、ホルモン分泌など、生命維持に必要な働きを24時間体制でコントロールする器官です。
この自律神経のバランスが乱れると、あくびが頻繁に出るだけでなく、さまざまな身体的・精神的な不調が現れやすくなります。ここでは、あくび以外に見られる主な症状を紹介します。
ストレスや疲労が自律神経に与える影響
現代社会において、ストレスや疲労は自律神経のバランスを崩す大きな要因です。精神的なプレッシャーや不安、人間関係の悩み、あるいは過度な肉体労働や運動など、あらゆるストレスは自律神経に影響を与えます。ストレスを感じると、私たちの体は危機に対応しようとして交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上昇し、体が緊張状態になる仕組みです。
通常であれば、ストレスがなくなれば副交感神経が優位になり、体がリラックスして回復に向かいますが、慢性的なストレスや疲労が続くと、交感神経が常に優位な状態が続き、副交感神経とのバランスが崩れてしまいます。これにより、不眠、イライラ、倦怠感、頭痛、肩こり、消化不良など、あくび以外にも多岐にわたる不調が現れることがあります。
睡眠不足や生活習慣の乱れも原因に
自律神経の乱れは、睡眠不足や不規則な生活習慣によっても引き起こされます。夜更かしや交代勤務などで睡眠時間が不足したり、睡眠の質が悪かったりすると、日中に体を回復させるための副交感神経の働きが十分に得られません。また、就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見る習慣も、脳を覚醒させてしまい、スムーズな入眠を妨げる原因となります。
さらに、偏った食生活や運動不足も自律神経のバランスを崩す一因です。栄養バランスの悪い食事は、自律神経の働きに必要な栄養素の不足を招く可能性があります。また、運動不足は血行不良を引き起こし、自律神経の調整機能にも悪影響を与えかねません。
このように、睡眠不足や生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し、あくびの増加だけでなく、慢性的な疲労感、だるさ、集中力の低下、免疫力の低下といった様々な症状を引き起こす原因となるのです。
自律神経を整えて改善|今日から試せる止まらないあくび対策

頻繁に出るあくびは、仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。ここでは、今すぐできる即効性のある対処法をご紹介します。一時的な対策として、ぜひ試してみてください。
深呼吸でリフレッシュする
あくびは、脳への酸素不足や体温調節機能の乱れが影響して起こる場合があります。意識して深い呼吸を行うと、脳に新鮮な酸素が行き渡り、気分をリフレッシュしやすくなります。
鼻からゆっくり息を吸い、数秒間そのまま保ったあと、口からゆっくりと吐き出しましょう。この呼吸を数回繰り返すと、体が落ち着きやすくなり、副交感神経が優位になりやすい状態へ導かれます。その結果、緊張が和らぎ、リラックス効果も期待できるでしょう。
軽いストレッチや運動をする
長時間同じ姿勢でいると、血行が悪くなり、脳への酸素供給が滞ることがあります。こうした場合は、席を立って軽いストレッチをしたり、短時間でできる簡単な運動を取り入れたりする工夫も効果的です。
肩を回す、首をゆっくりと左右に傾ける、背伸びをするなど、凝り固まった体をほぐすことで血行が促進され、気分転換にもつながります。
冷たい水での洗顔や首元を冷やす
顔や首元に冷たい刺激を与えると、一時的に覚醒作用が高まり、あくびを抑えやすくなります。冷たい水で顔を洗ったり、濡らしたタオルや冷えたペットボトルを首元に当てたりすると効果的です。
とくに首の後ろには太い血管が通っているため、この部分を冷やすと体全体の体温調節にも良い影響が出やすくなります。気分が引き締まり、頭がすっきりしやすくなるため、手軽なリフレッシュ方法として取り入れやすいでしょう。
止まらないあくびを根本から改善|自律神経を整える方法
あくびの頻度を減らし、心身ともに快適な状態を取り戻すためには、一時的な対処法だけでなく、自律神経のバランスを根本から整える生活習慣の改善が不可欠です。ここでは、日々の生活で実践できる具体的な方法をご紹介します。
規則正しい生活リズムを整える
私たちの体には、約24時間周期で働く体内時計が備わっており、自律神経のリズムと深く結びついています。毎日なるべく同じ時間に起床し、就寝する生活を続けると、体内時計が整いやすくなり、自律神経のバランスも安定しやすくなるでしょう。
とくに、朝起きた直後に太陽の光を浴びる習慣は重要です。体内時計がリセットされるだけでなく、気分を安定させる働きを持つセロトニンの分泌が促されます。その結果、日中は活動的に過ごしやすくなり、夜には自然な眠りに入りやすい状態へ導かれます。
バランスの取れた食事を心がける
食生活は自律神経の働きに大きな影響を与えます。特に、腸内環境は自律神経と密接な関係があるため、腸を健康に保つことが重要です。
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な野菜や果物、発酵食品などを積極的に取り入れ、バランスの取れた食事を心がけましょう。また、カフェインやアルコールの過剰摂取は自律神経を刺激し、乱れを引き起こす可能性があるため、摂取量に注意が必要です。
規則正しい時間に食事を摂る意識も、自律神経のリズムを整えるうえで大切なポイントとなります。
適度な運動で心身をリフレッシュ
適度な運動は、自律神経のバランスを整えるうえで効果的です。特に、ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなどの有酸素運動は、心肺機能を高め、血行を促進し、ストレス解消にもつながります。
運動によって交感神経が適度に刺激され、その後の休息で副交感神経が優位になれば、自律神経の切り替えがスムーズになります。無理のない範囲で、毎日少しずつでも体を動かす習慣を取り入れることで、心身のリフレッシュとともに、あくびの改善が期待できます。
質の高い睡眠を確保するための工夫
質の高い睡眠は、自律神経を整えるうえで欠かせない要素の一つです。次のポイントを意識しながら、睡眠環境を見直してみましょう。
寝室環境を整える
寝室はできるだけ暗く静かな状態を保ち、温度や湿度を快適な範囲に調整します。寝具も体に合ったものを選ぶと、寝返りが打ちやすくなり、眠りの質が高まりやすくなります。
寝る前の習慣を見直す
就寝前はカフェインやアルコールの摂取を控え、スマートフォンやパソコンなどのブルーライトを避ける意識が大切です。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、軽いストレッチを取り入れたりすると、心身がリラックスしやすくなります。
規則的な睡眠時間を意識する
毎日なるべく同じ時間に寝起きすると、体内時計が整いやすくなります。その結果、自然な眠りに入りやすくなり、自律神経のバランスも安定しやすくなるでしょう。
リラクゼーション法でストレスを軽減
ストレスは自律神経のバランスを崩す大きな要因の一つです。リラクゼーション法を生活に取り入れると、心身の緊張が和らぎ、副交感神経が働きやすい状態へ導かれます。
深呼吸
意識してゆっくりと深い呼吸を行うと、副交感神経が刺激され、体と心が落ち着きやすくなります。緊張を感じたときや気分を切り替えたいときに取り入れると効果的です。
アロマセラピー
ラベンダーやカモミールなど、リラックス作用が期待できる香りを取り入れると、心地よい刺激が心身を穏やかに整えます。就寝前や休憩時間に使うと、リフレッシュしやすくなるでしょう。
入浴
38〜40℃ほどのぬるめのお湯にゆっくり浸かると、血行が促され、筋肉のこわばりがほぐれやすくなります。体が温まることで自然と緊張が緩み、リラックスした状態へ導かれます。
マインドフルネス瞑想
今この瞬間の呼吸や感覚に意識を向けると、頭の中の雑念が整理され、心の落ち着きを取り戻しやすくなります。短時間でも継続することで、ストレス対策として役立ちます。
あくびが止まらないのは自律神経の乱れ?受診を検討すべきサイン
頻繁なあくびは、多くの場合、眠気や疲労、ストレスなど一時的な要因によるものです。ただし、中には体からのSOSとして現れるケースもあります。単なるあくびだと軽く受け止めず、自分の体が発しているサインに目を向ける意識が大切です。
こんなあくびは要注意
単なる眠気や退屈によるあくびとは異なり、次のような特徴が見られる場合は、何らかの病気が背景にある可能性も考えられます。脳の機能に関わる異常や循環器・呼吸器系のトラブル、神経系の疾患などが影響しているケースも否定できません。
違和感を覚えた場合は、早めに医療機関への相談を検討しましょう。
異常な頻度で止まらない
十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中を通してあくびが極端に多い状態が続く場合は注意が必要です。生活リズムや疲労の問題だけでは説明できない可能性があります。
他の症状を伴う
頭痛やめまい、吐き気、手足のしびれ、意識がぼんやりする感覚、ろれつが回らない、集中力が著しく低下するなどの症状が同時に現れる場合は、より慎重な対応が求められます。
特定の状況に関係なく起こる
ストレスや疲労といった要因が見当たらないにもかかわらず、突然あくびが頻発するようになった場合は、体の内部で何らかの変化が起きている可能性があります。
生活に支障が出ている
あくびの回数が多すぎて、仕事や学業、日常生活に集中できないなど、実際の行動や生活に影響が及んでいる場合も、受診を考える目安になります。
医療機関を受診する目安
上記のような症状が当てはまる場合や、あくびの頻度や程度がなかなか改善しない場合は、専門の医療機関への受診を検討すると安心です。特に、あくびが数週間以上続き、生活習慣を見直しても変化が見られない場合は、体の不調が背景にある可能性を考える必要があります。
また、以前と比べてあくびの回数が明らかに増え、仕事や学業、日常生活に支障が出ている場合も受診の目安です。さらに、あくびに加えて頭痛やめまい、倦怠感、集中力の低下といった症状が続く場合は、より慎重な対応が求められるでしょう。
受診の際は、まず内科で相談するのが一般的です。必要に応じて、神経内科や心療内科、精神科などの専門医を紹介してもらう流れになります。あくびの頻度や起こる時間帯、併せて現れている症状などを具体的に伝えると、診断の助けになるでしょう。
適切な診断と治療を受けることが、不安の軽減につながり、健康な生活を取り戻す第一歩となります。
まとめ:止まらないあくびと向き合う|自律神経を整えて快適な毎日を目指そう
止まらないあくびは、単なる生理現象ではなく、自律神経の乱れを知らせる体からのサインである可能性があります。本記事では、あくびが頻繁に出る原因やそのメカニズム、自律神経との関係、さらに日常生活で実践できる対処法までを解説してきました。
ストレスや生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩しやすく、あくびとして表に現れる場合があります。ただし、規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、質の高い睡眠、リラクゼーションを意識すれば、状態の改善は十分に目指せます。
対策を続けても変化が見られない場合や他の不調を伴う場合は、早めに医療機関へ相談すると安心です。この記事が、健やかな毎日を取り戻すきっかけになれば幸いです。
あくびの悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
監修者
院長 根木 淳
愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手金融機関に勤務。2005年、秋田大学医学部卒業後、名古屋市立大学医学部精神科に入局。八事病院、三重県立子ども心身発達医療センターなどで研鑽を積む。京都大学医学部大学院とfMRIによる精神症状の脳機能の共同研究を経て慶應義塾大学大学院精神・神経科に入局。東京大学工学系研究科と連携して自動車運転の認知機能と安全性についての研究を行う。大学病院での診療、戸田病院、秋元病院、ガーデンクリニックなどでの診療業務に併行して、外資系及び国内大手IT企業、外資系大手コンサルティングファーム、テレビ・インターネット通販企業、都市銀行、国内大手証券会社、総合商社、特許翻訳・知財コンサル系企業、建設コンサルタント企業、広告代理店、大手旅行代理店、独立行政法人(公的法務支援機関)、大手不動産、大手企業信用調査会社、グローバルEC系企業、大手アパレル企業、国内最大手スーパーなど、都心大企業を中心に50社以上の産業医として企業のメンタルヘルスに従事。令和2年5月、北越谷駅前さくらメンタルクリニック院長に就任。併行して産業医業務に従事している。 【資格・所属学会など】 日本精神神経学会専門医・指導医 精神保健指定医 日本医師会認定産業医 日本老年精神医学会専門医・指導医