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2026.02.25

自律神経失調症とうつ病の違いとは?症状・原因・見分け方を徹底解説

「体が重く感じる」「気力がわかない」「集中力が続かない」といった不調に悩んでいませんか。こうした状態が続くと、自律神経の乱れなのか、うつ病によるものなのか判断できず、不安を抱える方も少なくありません。

自律神経失調症とうつ病は、似た症状が見られる一方で、原因や対処の考え方には違いがあります。本記事では、それぞれの特徴や主な症状、原因、見分けるためのポイントをわかりやすく整理して解説します。

自律神経失調症とうつ病の基本的な違い

体のだるさや意欲の低下といった症状は共通しているものの、自律神経失調症とうつ病は成り立ちや性質が異なります。表れ方が似ているため混同されやすいですが、背景にある仕組みや不調の捉え方には明確な違いがあります。

まずはそれぞれがどのような状態を指すのかを整理し、違いを理解するための土台をつくっていきましょう。

自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、体内の機能をコントロールする自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることで、さまざまな身体的・精神的な不調が生じる状態です。

自律神経は、心臓の動き、呼吸、消化、体温調節など、生命維持に必要な機能を無意識のうちに調整しています。ストレスや不規則な生活、疲労などが原因でこのバランスが乱れると、特定の臓器だけでなく全身に症状が現れる点が大きな特徴です。

病気というよりは、心身がストレスに対して反応している状態と捉えられ、身体的な不検査では異常が見つからないケースも少なくありません。

うつ病とは

うつ病は、脳の機能障害によって、気分の落ち込みや意欲の低下といった精神症状が持続し、日常生活に大きな支障をきたす精神疾患です。脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスが崩れることが関係していると考えられています。

単なる「気の持ちよう」や「一時的な落ち込み」とは異なり、適切な治療が必要な病気です。精神的な症状が中心ですが、睡眠障害や食欲不振といった身体的な症状も伴うことが多く、思考力や集中力の低下も見られます。

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自律神経失調症の主な症状と原因|うつ病との違いを整理

自律神経の乱れは、体の働きを調整する仕組みがうまく機能しにくくなる状態です。その影響は疲れやすさや睡眠の質だけでなく、気分や思考の安定にも及ぶため、不調の原因をつかみにくい点が特徴といえます。

ここでは、自律神経失調症で起こりやすい症状の出方と、引き金になりやすい要因を整理し、セルフチェックの視点を持てるように解説します。

身体的な症状

自律神経失調症の症状は、一つの不調だけが現れるのではなく、複数の症状が同時に出たり、日によって内容や強さが変化したりする点が特徴です。はっきりとした原因が分からないまま、体のさまざまな部分に違和感が続くため、「なんとなく全身の調子が悪い」と感じやすい傾向があります。

こうした不調は、自律神経が体の働きをうまくコントロールできていないサインと考えられます。 主な不調は以下のとおりです。

めまいや立ちくらみ

血圧の調整がうまくいかず、脳への血流が一時的に不足することで起こります。特に、立ち上がった瞬間にクラッとする「起立性低血圧」のような症状が出やすく、朝起きた直後や長時間座った後に強く感じる人も少なくありません。

動悸や息苦しさ

心拍数や呼吸のコントロールが乱れ、急に心臓がドキドキしたり、息が詰まるような感覚が出たりします。検査をしても心臓や肺に異常が見つからないことが多く、不安感と結びついて症状が強まるケースもあります。

発汗の異常

体温調節がうまく働かず、暑くないのに大量の汗をかいたり、反対に汗をほとんどかかなくなったりします。緊張した場面や人前に出ると急に汗が出るなど、状況に左右されやすいのも特徴です。

頭痛や肩こり

自律神経の乱れにより筋肉の緊張が続きやすくなり、血流が悪くなることで頭痛や肩こりが慢性化しやすくなります。デスクワークやスマートフォンの使用が多い人ほど、症状を強く感じる傾向があります。

倦怠感や疲労感

十分に休んでも疲れが取れず、常に体が重く感じられる状態が続きます。気力の低下や集中力の低下を伴うこともあり、日常生活や仕事のパフォーマンスに影響を与えるケースもあります。

消化器症状

胃のもたれや不快感、吐き気、食欲不振、下痢や便秘など、消化管の動きが不安定になります。ストレスを感じると症状が悪化しやすく、緊張するとお腹が痛くなるタイプの人に多く見られます。

手足のしびれや冷え

血流の調整がうまくいかないことで、手足が冷えやすくなったり、ピリピリとしたしびれを感じたりします。特に女性に多く、季節を問わず冷えを強く訴える場合もあります。

精神的な症状

自律神経失調症では、身体の不調だけでなく、心の状態にもさまざまな影響が現れます。精神的な症状は目に見えにくいため気づきにくいものの、日常生活や人間関係、仕事のパフォーマンスに大きく関わる重要なサインです。

身体症状と同様に、これらの精神的な不調も複数が重なって現れることが多く、体調や環境によって強さが変わる点が特徴です。主な症状として、以下が挙げられます。

不安感や恐怖感

特別な理由がないのに不安な気持ちが強くなったり、人混みや外出など特定の場面で強い恐怖を感じたりすることがあります。動悸や息苦しさなどの身体症状と同時に現れると、不安がさらに増幅しやすくなります。

イライラや怒りっぽさ

自律神経のバランスが崩れると感情のコントロールが難しくなり、普段なら気にならないことにも過敏に反応しがちです。周囲との人間関係に影響が出てしまうケースも少なくありません。

集中力の低下

考えがまとまりにくくなり、仕事や勉強に集中できなくなります。簡単な作業でも時間がかかったり、ミスが増えたりすることで自己嫌悪につながることもあります。

不眠

寝つきが悪い、夜中に目が覚める、眠りが浅いといった状態が続きます。睡眠の質が低下すると疲労が回復しにくくなり、身体症状や精神症状をさらに悪化させやすくなります。

気分の落ち込みや変動

理由もなく気分が沈んだり、些細なきっかけで気分が大きく変わったりします。感情の波が不安定になることで、自分自身の状態をつかみにくくなる傾向があります。

意欲の低下

何かを始めようとする気力が湧かず、これまで楽しめていた趣味や日常の活動にも関心が持てなくなることがあります。無理に頑張ろうとすると、かえって心身の負担が大きくなる場合もあります。

身体症状と同様に、これらの精神的な不調も複数が重なって現れることが多く、体調や環境によって強さが変わる点が特徴です。

原因

自律神経失調症は、一つの要因だけで起こるものではなく、心や体、生活環境など複数の要素が重なり合って発症するケースがほとんどです。特に現代はストレス要因が多く、無意識のうちに自律神経へ負担をかけやすい状況にあります。ここでは、発症につながりやすい代表的な原因を整理します。

精神的ストレス

人間関係の悩み、仕事や学業のプレッシャー、将来への不安などが積み重なると、自律神経のバランスは大きく乱れやすくなります。強い緊張状態が続くことで交感神経が優位になり、心身が休まらない状態が慢性化します。

身体的ストレス

過労や睡眠不足、不規則な食事、寒暖差の激しい環境などは、体に直接的な負担をかける大きな要因の一つです。慢性的な痛みや体調不良がある場合も、自律神経が過剰に働き続けてしまう原因になります。

不規則な生活習慣

夜更かしや朝食抜き、運動不足などの生活リズムの乱れは、自律神経の切り替えに悪影響を与えかねません。体内時計が乱れることで、眠れない、疲れが取れないといった不調が起こりやすくなります。

環境の変化

引っ越しや転職、昇進、結婚、出産などは一見前向きな出来事であっても、心身にとっては大きな負荷になります。新しい環境へ適応しようとする過程で、自律神経が乱れやすくなります。

特定の疾患や体質

甲状腺機能異常や更年期障害など、ホルモンバランスが影響する疾患を持つ人は自律神経の乱れが起こりやすい傾向があります。また、もともとストレスを感じやすい体質や感受性が高い人も発症リスクが高まるでしょう。

うつ病の主な症状と原因|自律神経失調症との違いを整理

うつ病は、精神的な症状が中心となる病気ですが、身体的な不調も多く見られます。ここでは、うつ病に特有の症状と、その発症に関わる原因について詳しく解説します。

気分の落ち込みだけでなく、身体的な症状も伴うこと、そしてその原因が脳の機能や心理社会的要因に深く関わっていることを理解していきましょう。

身体的な症状

うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下といった心の変化だけでなく、体調の異変として表れる症状も少なくありません。日常生活の中で体の不調として自覚されやすく、自律神経失調症と似た症状に感じられる場合もあります。そのため、身体面に現れるサインにも意識を向けておく必要があります。

不眠または過眠

眠れない状態が続く不眠が典型的ですが、反対に長時間眠ってしまう過眠が現れる場合もあります。夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めて再び眠れないといった症状が続くことで、心身の回復が妨げられます。

食欲不振または過食

食事への興味が薄れ、食欲が低下して体重が減少するケースもうつ病の特徴です。一方で、ストレスや不安を紛らわすために過食に走り、体重が増える人もいます。食行動の変化は、うつ病の重要なサインの一つです。

倦怠感・疲労感

体が鉛のように重く感じられ、少し動いただけでも強い疲労を覚えます。十分に休んでも回復せず、日常的な動作が大きな負担に感じられることが特徴です。

頭痛や肩こり

精神的な緊張が続くことで筋肉がこわばり、慢性的な頭痛や首・肩のこりにつながります。薬を使っても改善しにくいケースもあり、長期化しやすい傾向があります。

胃腸の不調

吐き気、便秘、下痢、胃のもたれなど、消化器系のトラブルが起こることもあります。精神的なストレスが直接影響しやすく、症状の強さが日によって変動する点も特徴です。

うつ病における身体症状は、心の不調が体に表れたサインともいえます。精神面だけでなく、体の変化にも目を向けることが早期の気づきにつながります。

精神的な症状

うつ病では、身体症状以上に精神面の変化が中心となります。気分や考え方、意欲の状態に強い影響が現れ、これらが一定期間続くことで日常生活や社会生活に大きな支障をきたしかねません。特に、同じような精神的な不調が2週間以上続く場合は、注意深く状態を見つめる必要があります。主な症状は以下のとおりです。

持続的な気分の落ち込み・憂うつ感

ほとんど毎日、長い時間にわたって気分が沈み込み、明るい気持ちになれない状態が続きます。出来事の良し悪しに関係なく気分が上向かず、空虚感や無力感を伴うケースも少なくありません。

興味・喜びの喪失

これまで楽しめていた趣味や娯楽、人との会話や外出に対して関心が持てなくなります。楽しいと感じる感覚そのものが弱まり、生活の中に充実感を見出しにくくなります。

意欲の低下

行動を起こすエネルギーが著しく低下し、身支度や食事の準備、外出などが大きな負担に感じられます。やらなければならないと分かっていても体が動かず、自己嫌悪につながる場合もあります。

集中力・思考力の低下

物事に意識を向け続けるのが難しくなり、文章を読む、話を聞く、判断を下すといった作業が苦痛になります。仕事や学業の能率が落ち、ミスが増える傾向も見られるでしょう。

自責感・罪悪感

自分を過度に責める思考が強まり、過去の出来事を繰り返し思い出して後悔したり、「自分には価値がない」と感じたりします。周囲の評価に関係なく、否定的な自己認識が続きやすくなります。

希死念慮

生きている意味を見失ったように感じ、「消えてしまいたい」「死にたい」といった考えが浮かぶ状態です。これは非常に危険なサインであり、早急な医療機関への相談が求められます。

不安・焦燥感

理由のはっきりしない不安が続いたり、落ち着かずそわそわした感覚が強まったりします。気持ちが張りつめた状態が続くことで、心身の消耗がさらに進みやすくなります。

原因

うつ病は、特定の一つの原因だけで発症するものではありません。心や体、環境などさまざまな要素が重なり合って起こると考えられています。生まれ持った体質や性格傾向に、強いストレスや体調の変化が加わることで発症に至るケースが多く見られます。

脳内の神経伝達物質の機能異常

セロトニンやノルアドレナリンなど、感情や意欲を調整する神経伝達物質の働きが低下すると、気分の落ち込みや意欲低下が起こりやすくなります。これらのバランスの乱れは、うつ病の発症と深く関係していると考えられています。

遺伝的要因

家族にうつ病を経験した人がいる場合、発症リスクがやや高くなる傾向があります。必ず発症するわけではありませんが、体質的な影響を受けやすい可能性があるとされています。

性格的要因

真面目で責任感が強い、完璧を求めやすい、周囲に気を使いすぎるといった傾向を持つ人は、ストレスをため込みやすいでしょう。自分を追い込みやすい思考の癖が、発症リスクを高める要因になる場合があります。

ストレス要因

人間関係のトラブル、大切な人との別れ、仕事上の大きな変化、過労、経済的な不安、病気など、強い精神的負荷が引き金になるケースは少なくありません。長期間にわたるストレスの蓄積も発症につながりやすくなります。

身体疾患や薬の影響

甲状腺機能低下症や脳血管障害、がんなどの身体の病気が背景にあり、うつ病に似た症状が現れる場合があります。また、服用している薬の副作用として抑うつ状態が起こるケースもあります。

自律神経失調症とうつ病の違いを見分けるポイント

自律神経失調症とうつ病は、どちらも心身に幅広い不調が現れるため、症状だけを見ると判断に迷いやすい傾向があります。ただし、症状の出方や感じ方、続き方にはそれぞれ特有の傾向があり、そこに注目することで違いが見えてきます。まずは両者の特徴を整理し、見分けるための視点を持つことが大切です。

共通する症状

自律神経失調症とうつ病は、心と体の両面に不調が現れるため、症状だけを見ると区別が難しいと感じる方も少なくありません。特に身体症状や精神症状には共通点が多く、どちらの可能性も考えられるケースが多いのが実情です。

ここでは、両者に共通して見られやすい症状を「身体的な症状」「精神的な症状」に分けて整理し、違いを理解するための土台をまとめます。

身体的な症状

自律神経失調症とうつ病のどちらでも、強い倦怠感や疲労感が現れやすく、朝起きるのがつらい、体が重く感じるといった状態が続きます。また、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡できないなどの睡眠障害も共通して見られる特徴です。

さらに、食欲の低下や過食による体重変動、慢性的な頭痛や肩こり、めまいや耳鳴り、動悸や息苦しさといった症状も起こりやすく、体調不良として強く自覚されやすくなります。加えて、吐き気や下痢、便秘などの胃腸の不調が続く場合もあり、身体のさまざまな部分に不快感が広がる点が共通しています。

精神的な症状

精神面では、不安感が強まり、理由がはっきりしないまま落ち着かない状態が続くことがあります。集中力の低下も共通しており、物事に意識を向け続けるのが難しくなり、仕事や家事でミスが増える場合も多いでしょう。

さらに、イライラしやすくなり、些細なことで感情的になる傾向も見られます。気分の落ち込みや憂うつ感も両者に共通し、前向きな気持ちになれず、楽しさを感じにくくなる点も共通した特徴です。ただし、この落ち込みの強さや持続性の違いが、自律神経失調症とうつ病を見分ける重要な手がかりになります。

決定的な違い

自律神経失調症とうつ病には共通する症状が多く見られる一方で、症状の出方や続き方、生活への影響の仕方にははっきりとした違いがあります。これらのポイントを整理して見ていくことで、自分の不調がどちらに近いのかを考える手がかりになるでしょう。

ここでは、見分ける際に特に注目したい違いを項目ごとに解説します。

症状の中心と持続性

自律神経失調症では、体のだるさや動悸、めまいといった身体的な不調が中心となり、精神的な症状はそれに付随して現れる傾向があります。症状の強さには波があり、日によって楽な時間帯があったり、環境や状況によって悪化・改善を繰り返したりします。

一方、うつ病では気分の落ち込みや意欲の低下が中心となり、ほぼ毎日持続的に続く点が特徴です。特に「興味や喜びを感じられない状態」が2週間以上続くことが、診断の目安の一つとされています。

「興味・喜びの喪失」の有無

自律神経失調症の場合、体調が優れないと感じていても、好きなことや楽しいと感じる活動に取り組めば、気分が少し軽くなることがあります。気分転換が可能な点が大きな特徴です。

これに対してうつ病では、何をしても楽しさを感じられず、以前は好きだった趣味や人との交流にも関心が持てなくなります。喜びを感じる感覚そのものが弱まる点が、決定的な違いといえます。

原因の明確さ

自律神経失調症は、強いストレスや生活習慣の乱れ、環境の変化など、比較的はっきりした要因が見つかるケースが一般的です。原因となる要素が軽減されると、症状も次第に改善へ向かう傾向があります。

一方、うつ病は特定のストレスが見当たらない場合でも発症することがあり、脳内の神経伝達物質の働きの変化など、身体的な要因が深く関与していると考えられています。

日常生活への影響の質

自律神経失調症では身体症状によって生活に支障が出ることはありますが、意欲そのものが完全に失われるケースは比較的少ない傾向があります。体調が良いときには、仕事や趣味に取り組める場合も多いでしょう。

これに対してうつ病では、気分の落ち込みや無気力感が非常に強く、仕事や学業、家事などの日常活動全般が困難になります。身だしなみを整える、食事をとるといった基本的な行動さえ大きな負担に感じられる点が特徴です。

症状の側面

自律神経失調症

うつ病

症状の中心

身体症状が主(めまい、動悸、頭痛など)

気分の落ち込み、興味・喜びの喪失が主

気分の波

日によって症状に波がある、気分転換で改善も

持続的な気分の落ち込み、改善が見られにくい

喜びの感情

好きなことには意欲が湧き、喜びを感じられる

以前楽しめたことにも喜びを感じられない

原因

ストレス、生活習慣の乱れなど比較的明確な要因

ストレスだけでなく、脳機能の不調も関与

日常生活への影響

身体症状による支障が多い

意欲低下により、活動全般に大きな支障

自律神経失調症とうつ病の違い|診断と受診の目安

自身の不調が自律神経失調症なのか、それともうつ病なのか判断に迷うこともあるでしょう。ここでは、専門家がどのように診断を下すのか、そしてどのような症状や状況で医療機関を受診すべきかの目安を解説します。

一般的な専門家の判断

医師は、問診で得られる訴えの内容や身体診察の所見、必要に応じた心理検査や血液検査の結果を踏まえ、全体像から状態を判断します。精神科や心療内科では、症状の種類や重症度、どのくらいの期間続いているか、日常生活にどれほど影響しているかが重要な評価ポイントです。

うつ病の診断では、国際的に用いられている「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」が参考になります。抑うつ気分や興味・喜びの喪失といった主要症状を含む複数の項目が、一定期間以上続いているかどうかも判断の基準です。症状の数や組み合わせ、生活への支障の大きさも無視できません。

一方、自律神経失調症は、特定の身体疾患や明確な精神疾患では説明しきれない多様な身体症状が前面に出やすい状態です。検査で大きな異常が見つからない場合でも、症状の出方や経過から自律神経の乱れが疑われる場面は少なくありません。

これらを一つずつ照らし合わせながら、医師は慎重に評価を進めます。単純な線引きで決まるものではなく、症状の背景や変化の仕方を含めた総合的な判断が求められる領域といえるでしょう。

こんな時は専門機関へ

心身の不調を感じたとき、それが自律神経失調症なのか、うつ病なのかを自分だけで見極めるのは容易ではありません。我慢を続けるほど症状が長引いたり、悪化したりするおそれもあります。少しでも不安を覚えた場合は、心療内科や精神科などの専門機関を受診する選択も十分に検討してよいでしょう。

専門家に相談する行動は決して特別なものではなく、心と体のバランスを取り戻すための前向きな一歩といえます。ここでは、受診を考える際の判断ポイントを整理していきます。

症状が2週間以上続いている

気分の落ち込みや倦怠感、睡眠障害などが一時的な不調ではなく、2週間以上にわたって続いている場合は注意が必要でしょう。自然に回復する兆しが見られない状態は、専門的な評価を受ける目安になります。

日常生活に支障が出ている

仕事や学業、家事、人間関係など、これまで問題なく行えていた生活が困難に感じられる場合も受診を検討するタイミングです。生活の質が大きく下がっている状態は、心身からの重要なサインといえます。

セルフケアで改善しない

休養を取る、ストレスを減らす、生活リズムを整えるといった工夫をしても症状が改善しない場合、自己対応だけでは限界がある可能性があります。むしろ悪化していると感じるなら、早めの相談が望ましいでしょう。

希死念慮がある

「死にたい」「消えてしまいたい」といった考えが浮かぶ状態は、非常に危険なサインです。この段階では迷わず専門家の力を借りる必要があります。早急な対応が心身の安全を守ることにつながります。

身体症状が強く、他の病気が否定された

内科などで検査を受けても身体的な異常が見つからず、不調が続いている場合は、心や自律神経の影響が疑われます。原因不明の体調不良が長引くときも、心療内科や精神科の受診が有効な選択肢となるでしょう。

自律神経失調症とうつ病の違いを踏まえたセルフケア

専門機関への受診と並行して、また不調が比較的軽い場合には、日常生活の中で実践できるセルフケアも大切です。生活リズムや過ごし方を少し整えるだけでも、心身のバランスは安定しやすくなり、不調の緩和や予防につながります。

ここでは、特別な準備を必要とせず、日常に取り入れやすいセルフケアの方法を紹介します。

自律神経を整える生活習慣

自律神経のバランスを整えるには、特別な治療だけでなく、日々の生活習慣を見直す姿勢が欠かせません。睡眠や食事、運動、リラックスの時間を意識的に整えることで、自律神経は安定しやすくなります。無理のない範囲で続けられる工夫を取り入れ、心身のコンディションを少しずつ整えていきましょう。

規則正しい睡眠

毎日できるだけ同じ時間に就寝・起床し、十分な睡眠時間を確保する意識が大切です。生活リズムが整うことで自律神経も安定しやすくなります。寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、照明を落とす、静かな音楽を流すなど、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。

バランスの取れた食事

1日3食を規則正しく摂り、栄養バランスの整った食事を意識することが重要です。特に、自律神経の働きを支えるビタミンやミネラルを含む野菜や果物、たんぱく質をしっかり取り入れることで、体の調子を整えやすくなります。

適度な運動

ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣が自律神経の安定に役立ちます。運動によって血行が促進され、気分転換やストレスの軽減にもつながります。

入浴によるリラックス効果

ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、心身がリラックスしやすくなります。入浴は1日の緊張をほぐす時間としても有効です。好みに合わせてアロマオイルや入浴剤を取り入れるのもよい方法です。

ストレスマネジメント

ストレスは、自律神経の乱れやうつ病の引き金になりやすく、放置すると心身の不調を長引かせる要因になります。完全にストレスをなくすのは難しくても、向き合い方や発散の仕方を工夫すれば、負担を軽減できるでしょう。ここでは、日常生活の中で取り入れやすいストレス対処法を紹介します。

ストレスの原因を特定する

まずは、自分にとって何が負担になっているのかを把握する姿勢が大切です。人間関係や仕事、生活環境などを振り返り、負荷を感じる場面を整理すると対処の糸口が見えやすくなります。日記やメモに出来事や感情を書き出すと、気持ちを客観的に捉えやすくなります。

リラックス法の実践

深呼吸や瞑想、ヨガ、ストレッチなど、自分に合う方法で心身をゆるめる時間を確保します。短時間でも継続すると緊張が和らぎ、気持ちの切り替えがしやすくなります。毎日の生活に意識的な休息を組み込む意識が重要です。

趣味や気分転換

好きな活動に集中する時間は、ストレスから一時的に距離を置く助けになります。音楽、読書、散歩、映画鑑賞など、気持ちが落ち着く行動を選ぶと心の回復につながります。義務感ではなく、純粋に楽しめる内容を選ぶ意識が大切です。

相談相手を見つける

不安や悩みを一人で抱え込まず、信頼できる相手に打ち明ける姿勢も重要です。家族や友人、職場の同僚に話すだけでも気持ちが軽くなる場合があります。必要に応じて、心療内科やカウンセラーなど専門家の力を借りる選択も前向きな一歩といえるでしょう。

まとめ:自律神経失調症とうつ病の違いを理解して健やかな毎日を

本記事では、自律神経失調症とうつ病の違いについて、症状や原因、見分けるポイント、受診の目安まで幅広く解説しました。

両者は似た不調が現れやすい一方で、症状の中心や持続性、原因の背景には明確な違いがあります。特に、気分の落ち込みが長く続くか、喜びを感じにくくなっているかは重要な判断材料になります。

不調を感じた際は自己判断に頼らず、必要に応じて専門機関へ相談する姿勢が大切です。また、生活習慣の見直しやストレスケアを取り入れると、心身の安定につながります。小さな違和感を見逃さず、自分の状態に向き合う姿勢が健やかな毎日への第一歩といえるでしょう。自律神経失調症やうつ病にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者

院長 根木 淳

愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手金融機関に勤務。2005年、秋田大学医学部卒業後、名古屋市立大学医学部精神科に入局。八事病院、三重県立子ども心身発達医療センターなどで研鑽を積む。京都大学医学部大学院とfMRIによる精神症状の脳機能の共同研究を経て慶應義塾大学大学院精神・神経科に入局。東京大学工学系研究科と連携して自動車運転の認知機能と安全性についての研究を行う。大学病院での診療、戸田病院、秋元病院、ガーデンクリニックなどでの診療業務に併行して、外資系及び国内大手IT企業、外資系大手コンサルティングファーム、テレビ・インターネット通販企業、都市銀行、国内大手証券会社、総合商社、特許翻訳・知財コンサル系企業、建設コンサルタント企業、広告代理店、大手旅行代理店、独立行政法人(公的法務支援機関)、大手不動産、大手企業信用調査会社、グローバルEC系企業、大手アパレル企業、国内最大手スーパーなど、都心大企業を中心に50社以上の産業医として企業のメンタルヘルスに従事。令和2年5月、北越谷駅前さくらメンタルクリニック院長に就任。併行して産業医業務に従事している。 【資格・所属学会など】 日本精神神経学会専門医・指導医 精神保健指定医 日本医師会認定産業医 日本老年精神医学会専門医・指導医

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