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お子さんの学習面のつまずきに、不安や戸惑いを感じていませんか。成績が伸びにくい、宿題を嫌がる、文字を書くのが苦手、計算ミスが多いなど、気になる様子が続くと理由が分からず悩んでしまうものです。
努力や意欲の問題なのか、それとも別の要因があるのかと考える保護者も少なくありません。背景には、学習障害という生まれつきの特性が関係している可能性があります。特性を早い段階で理解し、適切な支援につなげることで、本来の力を発揮しやすくなるでしょう。
本記事では、学習障害のサインや早期発見の進め方、受診や支援につながる流れを整理し、前向きなサポートへ進むための視点をお伝えします。
学習障害はどうやってわかる?発達障害との関係

学習障害(LD:Learning Disabilities)とは、全体的な知的発達に遅れがないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」など、特定の能力の習得や活用に大きな困難がみられる状態を指します。背景には脳機能の働き方の偏りがあり、生まれつきの特性とされています。本人の努力不足や怠けが原因ではありません。
学習障害は発達障害の一つに分類されます。発達障害には、学習障害のほかに、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などがあります。学習障害が特定の学習分野での困難に表れやすいのに対し、ASDは対人関係やコミュニケーションの特徴、こだわりの強さなどが中心です。またADHDは、不注意、多動性、衝動性といった行動面の特徴がみられます。これらはそれぞれ異なる特性を持ちながら、同時にみられる場合もあります。
ディスレクシア(読字障害)
ディスレクシアは、文字を正しく読み取る力や内容を理解する力、流暢に音読する力に困難がみられる学習障害の一種です。全体的な知的発達に遅れはありませんが、文字と音を結びつける音韻認識が苦手であったり、文字の形を正確に捉えたり、文章のまとまりを理解したりする過程に難しさが生じます。
具体的には、文字を飛ばして読んでしまう、逆に読んでしまう、読み間違いが多い、読む速さが極端に遅いといった特徴がみられます。その結果、文章を読んでも内容を十分に理解しにくく、学習全体に影響が及ぶ場合があります。
ディスグラフィア(書字障害)
ディスグラフィアは、文字を書く作業や文章を組み立てる過程に困難がみられる学習障害の一種です。文字を正確に書くための運筆がうまくいかなかったり、文字の形を覚えて再現することに難しさが生じたりします。
また、書字だけでなく、文法に沿って文章を構成したり、自分の考えを言葉として整理して表現したりする場面でも負担を感じやすい傾向があります。
具体的には、文字の形が崩れやすい、鏡文字になる、筆圧が強すぎる・弱すぎる、漢字を覚えにくい、文章の構成がまとまりにくいなどが特徴です。こうした困難により、書く作業全体に時間がかかったり、学習への負担が大きくなったりする場合があります。
ディスカルキュリア(算数障害)
ディスカルキュリアは、数概念の理解や計算、推論など、算数や数学に関わる能力に困難がみられる学習障害の一種です。全体的な知的発達に遅れはありませんが、数の大小や順序を把握しにくかったり、繰り上がり・繰り下がりの計算に時間がかかったりする場合があります。
九九の習得に苦労するケースも少なくないでしょう。さらに、図形の理解や時間の感覚をつかみにくい傾向もみられます。
また、文章問題で何が問われているのかを読み取り、適切な計算方法を選ぶ過程にも負担が生じるかもしれません。こうした特性は学習場面だけにとどまらず、金銭の計算や時間の管理といった日常生活にも影響を及ぼします。
学習障害はどうやってわかる?年齢別にみるサインとチェックポイント

お子さんの学習面での「困りごと」は、年齢や発達段階によってその現れ方が異なります。ここでは、それぞれの時期に見られる学習障害の代表的なサインをチェックリスト形式でご紹介します。お子さんの様子と照らし合わせながら、当てはまるものがないか確認してみましょう。
幼児期~小学校低学年(6歳~8歳頃)
この時期は、読み書きや数の基礎を習得する大切な時期です。以下のようなサインが見られる場合、学習障害の可能性を考えるきっかけになります。
- 読み書きに関するサイン
- ひらがなやカタカナをなかなか覚えられない、よく間違える。
- 文字の形が安定せず、鏡文字(左右反転した文字)を書くことが多い。
- 文章を読む際、文字を飛ばしたり、行を読み間違えたりする。
- 音読がたどたどしく、読むスピードが極端に遅い。
- 文字と音を結びつけることが難しい(例:「あ」という文字を見ても「あ」と読めない)。
- 算数に関するサイン
- 数の概念(量や順序)を理解するのが難しい。
- 簡単な足し算や引き算の暗算が苦手で、指を使わないとできない。
- 時計の読み方や、お金の計算など、具体的な場面での数の理解が難しい。
- 数字の書き順を覚えられない、数字を逆さまに書くことがある。
- その他のサイン
- 先生の指示を理解するのに時間がかかる、何度も聞き返す。
- 集中力が続かず、すぐに気が散ってしまう。
- 話すことと書くことの間に大きな差がある(話すのは得意だが、書くのは苦手など)。
小学校中学年~高学年(9歳~12歳頃)
学習内容がより複雑になり、抽象的な思考が求められるようになるこの時期には、以下のようなサインが顕著になることがあります。
- 読み書きに関するサイン
- 漢字の読み書きを覚えるのが極端に苦手で、努力してもなかなか身につかない。
- 文章を読むのに時間がかかり、内容を理解するのに苦労する(読解力の低さ)。
- ノートをきれいに取ることが難しく、文字が乱雑になる。
- 作文や記述問題で、自分の考えを文章で表現することが難しい。
- 特定の音(例:促音「っ」、拗音「ゃゅょ」)の書き間違いが多い。
- 算数に関するサイン
- 繰り上がりや繰り下がりのある筆算、かけ算・割り算の計算ミスが多い。
- 図形問題や文章問題で、問題文を正確に読み解き、式を立てることが難しい。
- 分数や小数など、抽象的な数の概念を理解するのに時間がかかる。
- 位取り(一の位、十の位など)を間違えることが多い。
- その他のサイン
- 学習の量やスピードについていけず、宿題に非常に時間がかかる。
- 板書を写すのが遅く、途中で諦めてしまう。
- 新しい学習方法やルールの理解に困難がある。
中学生~大人
学習内容がさらに高度化し、自律的な学習が求められる中学生以降や大人になってから、学習障害の特性に気づくケースもあります。
- 学習に関するサイン
- 長文を読むのが苦痛で、レポートや論文作成に著しく時間がかかる。
- 複雑な情報や抽象的な概念を理解するのに困難を感じる。
- 板書やメモを取るのが苦手で、授業や会議の内容を把握しきれない。
- テスト勉強で、どこから手をつければ良いか分からず、計画的な学習が難しい。
- 時間管理が苦手で、課題の提出期限を守ることが難しい。
- 日常生活におけるサイン
- 書類の記入ミスが多い、文字を間違えやすい。
- 地図を読むのが苦手で、道に迷いやすい。
- 電話番号や日付など、数字の羅列を覚えるのが苦手。
- 計算が必要な場面(家計管理、買い物など)で困ることが多い。
これらのチェックポイントはあくまで目安であり、当てはまる項目が多いからといって必ずしも学習障害であるとは限りません。しかし、お子さんが学習面で継続的に困難を抱えている場合は、専門機関への相談を検討するきっかけになるでしょう。
学習障害の疑いはどうやってわかる?親ができる対応とサポート

ここでは、お子さんに学習障害の疑いがあると感じた際に、親御さんが家庭でできる具体的な対応と、学校とどのように連携していくべきかを整理します。お子さんの自己肯定感を守りつつ、学習をサポートするための接し方やヒントを参考にしてください。
家庭でできること
お子さんが学習で困難を抱えている場合、家庭での関わり方は大きな支えになります。日常の中で適切なサポートを行えば、学習への意欲を保ちやすくなり、安心して取り組める環境を整えられるでしょう。ここでは、家庭で実践しやすい支援のポイントを紹介します。
お子さんの学習スタイルを理解する
視覚優位、聴覚優位、体験優位など、情報を理解しやすい方法は人によって異なります。たとえば視覚優位のお子さんには、図やイラスト、色分けした教材が役立つでしょう。どのような方法で理解が進みやすいのかを観察し、学びやすい環境づくりを意識することが大切です。
小さな成功体験を積み重ねる
学習でつまずく経験が続くと、自信を失いやすくなります。少し努力すれば達成できる目標を設定し、達成感を味わえる機会を増やしていきましょう。たとえば「漢字を3つ書けたら休憩」「計算問題を5問解いたら好きな遊び」など、具体的な目標を示すと取り組みやすくなります。
休憩を適切に取り入れる
集中が長く続かない場合、短時間の学習と休憩を繰り返す方法が有効とされています。ポモドーロ・テクニックのように、時間を区切って取り組むと負担を軽減しやすいでしょう。長時間の学習を求めるよりも、リズムを整える方が効率は高まりやすいものです。
興味・関心を活かした学習方法を取り入れる
好きな分野を学習に取り入れると、意欲が高まりやすくなります。電車が好きなら時刻表で計算をしてみる、絵を描くのが好きならイラストで単語を覚えるなど、楽しさを感じられる工夫が効果的でしょう。遊びの要素を取り入れると、学習への抵抗感も和らぎやすくなります。
指示は具体的に、簡潔に伝える
複数の指示を一度に伝えると、混乱を招く場合があります。「鉛筆を持つ」「ノートを開く」「問題を読む」といったように、一つずつ順序を分けて伝えると理解しやすくなるでしょう。簡潔で具体的な声かけが、スムーズな行動につながります。
学校との連携
お子さんの学習を継続的に支えるためには、学校との協力体制が欠かせません。家庭と学校が情報を共有し、同じ方向を目指して関わることで、より効果的な支援が実現しやすくなるでしょう。ここでは、学校と連携する際の主なポイントを紹介します。
担任の先生に相談する
まずは日頃の様子をよく把握している担任の先生に、家庭で気づいた点や不安に感じている内容を具体的に伝えましょう。学校での学習状況や行動の様子を共有してもらえば、多面的な視点から状況を理解しやすくなります。早い段階での相談が支援の第一歩になる場合も少なくありません。
スクールカウンセラーや特別支援教育コーディネーターに相談する
学校によっては、スクールカウンセラーや特別支援教育コーディネーターなどの専門職が配置されています。特性の理解や具体的な支援方法について、専門的な助言を受けられるでしょう。必要に応じて外部機関との連携を調整してくれるケースもあります。
情報共有を密にする
家庭と学校でどのような支援を行っているのか、定期的に共有する姿勢が重要です。連絡帳や面談などを活用し、お子さんの変化や学習の進み具合を確認していきましょう。支援の方向性に一貫性が生まれ、環境の変化による混乱を防ぎやすくなります。
個別の教育的支援計画(IEP)について話し合う
学習障害の診断が確定した場合や、継続的な支援が必要と判断された場合には、「個別の教育的支援計画(IEP)」を作成することがあります。これは、一人ひとりのニーズに合わせた目標や支援内容を具体的に示した計画です。保護者の意見も反映されるため、積極的に話し合いへ参加するとよいでしょう。
学校での合理的配慮について相談する
読み書きの困難に対して板書の撮影を認める、テスト時間を延長する、口頭回答を認めるなど、状況に応じた合理的配慮を求められる場合があります。どのような支援が適切かは、お子さんの特性によって異なるでしょう。学校と相談しながら、無理のない方法を検討していく姿勢が大切です。
学習障害はどうやってわかる?専門機関での検査方法
お子さんの学習面でのつまずきに学習障害の可能性を感じた場合は、専門機関へ相談し、適切な評価を受けることが大切です。では、どこに相談すればよいのでしょうか。また、診断に至るまでにはどのような検査が行われるのでしょう。ここでは、相談先の種類と診断までの流れについて具体的に解説します。
どこに相談すれば良い?
学習障害の診断や支援について相談できる機関はいくつかあります。まずは、かかりつけ医や地域の保健センターへ相談し、適切な専門機関を紹介してもらう方法が一般的です。お子さんの年齢や状況、居住地域によって利用しやすい窓口は異なりますが、主な相談先は次のとおりです。
小児科・児童精神科
発達障害全般を専門とする医師が在籍しており、医学的な評価や診断が可能です。特に児童精神科では、子どもの心の状態や行動、発達の特徴を専門的に診察します。医療的な視点から総合的な判断が行われるため、診断を希望する場合には重要な相談先となるでしょう。
発達外来
大学病院や総合病院に設置されているケースが多く、小児科医や精神科医、心理士、作業療法士などが連携して評価を行います。複数の専門職が関わることで、多角的な視点から発達の特性を把握できる点が特徴です。
発達障害者支援センター
各都道府県や指定都市に設置されており、発達障害のある方や家族からの相談を受け付けています。情報提供や関係機関との連携支援も行われており、診断後の支援について相談したい場合にも利用しやすい窓口です。
教育センター・教育相談所
各自治体に設置され、子どもの学習面や行動面に関する相談に対応しています。学校との連携を前提とした支援につながりやすい点が特徴で、教育的な視点から助言を受けられるでしょう。
地域の保健センター
乳幼児健診などで関わる機会も多く、発達に関する初期相談の窓口として利用できます。必要に応じて専門機関を紹介してもらえるため、最初の相談先として適している場合も少なくありません。
診断までに何をする?
専門機関を受診すると、学習障害の有無や特性を確認するために複数の検査や評価が行われます。これらの過程を通じて、お子さんの得意・不得意や困難の背景が詳しく整理されていきます。
検査は一度で終わるとは限らず、複数回に分けて実施される場合もあるでしょう。結果は総合的に判断され、その内容をもとに診断や支援方針が検討されます。診断は、お子さんの特性を理解し、適切な支援につなげるための重要なステップといえます。具体的な流れは以下のとおりです。
問診
保護者から生育歴や現在の様子について詳しく聞き取ります。妊娠中や出産時の状況、乳幼児期の発達、学習の様子、日常生活での困りごと、家庭での行動などが主な確認項目です。事前に気になる点を整理しておくと、相談が進めやすくなるでしょう。
発達検査
知的発達の特性や認知の偏りを評価する目的で行われます。代表的な検査に「WISC-V(ウィスク・ファイブ)」などの知能検査があり、言語理解、視空間認知、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度といった複数の側面から認知特性を把握します。得意な分野と負担の大きい分野が明確になる場合も少なくありません。
学習能力検査
読み・書き・計算など、特定の学習領域の能力を詳しく評価します。文字を読む速さや正確さ、文章を書く力、計算の正確性などを測定し、どの場面でつまずきが生じているのかを具体的に確認します。学習上の困難を客観的に把握するための重要な検査といえるでしょう。
行動観察
検査や診察の場面での様子を観察し、集中の持続、課題への取り組み方、コミュニケーションの様子などを確認します。必要に応じて、学校での様子について担任から情報提供を求めるケースもあります。日常環境での行動を踏まえて評価が行われる点が特徴です。
学習障害はどうやってわかる?早期発見・早期支援の重要性
お子さんに学習障害の特性がある場合、早い段階で気づき、適切な支援を始める姿勢が成長や発達に大きく影響します。学力面のサポートだけでなく、自己肯定感や社会性の形成にも関わるためです。ここでは、早期に気づく意義と支援を始める重要性について整理します。
なぜ早期発見が大切なのか
学習障害の早期発見が重視される理由は、大きく二つあります。
一つ目は、学習の困難が長く続くことで生じる「二次的な問題」を防ぐためです。つまずきが繰り返されると、「自分はできない」「努力しても意味がない」と感じやすくなり、自信を失う場合があります。その結果、登校への抵抗感が強まったり、不安やいら立ちが増えたりするなど、心の負担や行動面の課題へつながる可能性も否定できません。
二つ目は、脳の発達が柔軟な時期に支援を開始すると、より高い効果が期待できるためです。幼少期から学齢期にかけては、新しい情報を吸収しやすく、学習の基盤が形成される重要な時期とされています。この段階で特性に合った学び方や環境を整えると、苦手な領域を補いやすくなり、得意な分野を伸ばす土台づくりにもつながるでしょう。
早期支援で得られるメリット
学習障害の特性を早い段階で理解し、適切な支援を始めると、お子さんの成長にはさまざまな良い変化が期待できます。学習面だけでなく、心理面や社会性にも前向きな影響が広がる点が大きな特徴です。主なメリットは以下のとおりです。
学力の向上につながる
特性に合わせた支援を取り入れると、学習内容の理解が進みやすくなります。たとえば、読字障害(ディスレクシア)には音声読み上げソフトや拡大文字教材、書字障害(ディスグラフィア)にはタブレットやパソコン入力、算数障害(ディスカルキュリア)には具体物を使った学習などが有効とされています。
学びやすい方法を選ぶことで、負担を軽減しながら理解を深めやすくなるでしょう。
自己肯定感の維持・向上につながる
学習の難しさが努力不足ではなく特性によるものだと理解できると、自分を否定する気持ちは和らぎやすくなります。達成できる課題を積み重ねる中で成功体験が増え、自信が育まれていくでしょう。前向きに学習へ取り組む姿勢が生まれやすくなる点も重要です。
社会性や将来の選択肢が広がる
学習面の負担が軽減されると、学校生活全体への意欲も高まりやすくなります。友人関係や集団活動に前向きに関われるようになり、コミュニケーションや協調性の発達にもつながるでしょう。
また、早い段階で特性を理解すると、将来の進路を考える際にも強みを活かしやすくなります。たとえば書字が苦手でも、音声入力やタイピングを身につければ、文章作成が求められる分野への道も開かれます。
学習障害はどうやってわかる?よくある誤解と正しい理解
学習障害は外見から判断しにくいため、周囲の理解が追いつかず、誤解や偏見を受けやすい特性があります。こうした誤解は、お子さんの学習意欲や自己肯定感に影響を及ぼす可能性も否めません。正しい理解を広げるために、代表的な誤解と実際の考え方を整理します。
「努力不足、怠けているだけ」という誤解
学習障害のあるお子さんは、努力しても読み書きや計算が思うように進まない場合があります。その様子から「もっと頑張ればできるはず」と受け取られ、叱責される場面もあるかもしれません。
しかし学習障害は、生まれつきの脳機能の特性によって生じるものです。特定の学習分野で情報処理に負担がかかる状態であり、本人の努力不足や怠慢が原因ではありません。
「親のしつけが悪い」という誤解
学習のつまずきが続くと、「家庭での関わり方に問題があるのでは」といった指摘を受ける場合もあります。しかし、学習障害は遺伝的要因や脳機能の特性と関係していると考えられています。しつけや教育方法だけで生じるものではありません。保護者が自分を責める必要はないといえるでしょう。
「知能が低い」という誤解
学習障害と聞くと、知能の低さを連想する人もいるかもしれません。しかし、学習障害は特定の学習領域に限定された困難を指し、全体的な知的発達の遅れを意味するものではありません。むしろ、苦手な領域がある一方で、別の分野では高い能力を発揮するケースも少なくないと報告されています。
「そのうち治る」という誤解
学習障害は一時的な体調不良のように自然に消えるものではありません。生まれつきの特性であるため、「治る」という表現は適切とはいえないでしょう。ただし、適切な支援や環境調整によって困難を軽減し、学習スキルを伸ばす取り組みは十分可能です。早い段階で特性を理解し、継続的にサポートを行う姿勢が重要になります。
まとめ:学習障害はどうやってわかるのかを理解し、お子さんの特性に寄り添い未来を支えよう
お子さんの学習面でのつまずきに直面し、「もしかして学習障害では」と不安を感じている方も多いでしょう。学習障害は努力不足ではなく、生まれつきの脳の特性によるものです。大切なのは、困りごとのサインに気づき、その背景を理解しようとする姿勢です。早期に気づき適切な支援につなげれば、お子さんは自信を保ちながら力を伸ばしていけます。
悩みを一人で抱えず、専門機関や学校と連携しながら、お子さんに合った支援を見つけていきましょう。特性を理解し寄り添う姿勢が、未来を支える大きな力になります。学習障害にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者
院長 根木 淳
愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手金融機関に勤務。2005年、秋田大学医学部卒業後、名古屋市立大学医学部精神科に入局。八事病院、三重県立子ども心身発達医療センターなどで研鑽を積む。京都大学医学部大学院とfMRIによる精神症状の脳機能の共同研究を経て慶應義塾大学大学院精神・神経科に入局。東京大学工学系研究科と連携して自動車運転の認知機能と安全性についての研究を行う。大学病院での診療、戸田病院、秋元病院、ガーデンクリニックなどでの診療業務に併行して、外資系及び国内大手IT企業、外資系大手コンサルティングファーム、テレビ・インターネット通販企業、都市銀行、国内大手証券会社、総合商社、特許翻訳・知財コンサル系企業、建設コンサルタント企業、広告代理店、大手旅行代理店、独立行政法人(公的法務支援機関)、大手不動産、大手企業信用調査会社、グローバルEC系企業、大手アパレル企業、国内最大手スーパーなど、都心大企業を中心に50社以上の産業医として企業のメンタルヘルスに従事。令和2年5月、北越谷駅前さくらメンタルクリニック院長に就任。併行して産業医業務に従事している。 【資格・所属学会など】 日本精神神経学会専門医・指導医 精神保健指定医 日本医師会認定産業医 日本老年精神医学会専門医・指導医