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2026.03.25 メンタルヘルス

BPSD(行動・心理症状)とは?原因・症状・対応方法をわかりやすく解説

家族の様子が急に変わり、どう接すればよいのか分からないと感じていませんか。興奮したり、理解しにくい言動が増えたりすると、認知症の影響なのかと戸惑う場面もあるでしょう。

こうした変化の背景にあるのが、認知症に伴って現れるBPSD(行動・心理症状)です。介護する側にとって大きな負担となりやすい一方で、症状には必ず背景や理由があり、本人の心身の状態や生活環境などが複雑に関係しています。

本記事では、BPSDの基礎知識から代表的な症状、日常で実践しやすい対応の工夫までを分かりやすく整理します。介護の負担を和らげ、自分自身の心身を守りながら向き合うためのヒントとしてお役立てください。

BPSD(行動・心理症状)とは?

認知症に伴って現れるBPSD(行動・心理症状)は、介護する家族にとって負担が大きくなりやすい症状の総称です。こうした行動や心理的変化は決して原因不明ではなく、本人の心身の状態や生活環境など、さまざまな要因が重なり合って表れます。

またBPSDは、認知機能の低下そのものとは異なり、精神的な不安や身体的な不快感、人との関わり方の変化などが影響して現れる場合が多いと考えられています。BPSDへの理解が深まるほど、本人に合った関わり方を見つけやすくなり、介護する側の負担の軽減にもつながります。

ここでは、BPSDの主な特徴を解説します。

興奮・攻撃性

興奮や攻撃的な言動は、BPSDの中でも介護する側の戸惑いや負担が大きくなりやすい症状です。突然大声を出す、強い口調で怒る、物を投げる、手が出るなど、激しい行動として表れる場合もあります。

こうした反応の背景には、言葉で十分に伝えられないつらさや不安が隠れている場合が少なくありません。体の痛みや体調不良、慣れない環境への混乱、思いが伝わらないもどかしさなどが重なり、強い感情として表面に現れると考えられています。

急な変化に驚いてしまう場面も多いですが、本人にとっては助けを求めるサインである可能性があります。行動だけを見るのではなく、その背景にある不安や苦痛に目を向ける視点が大切です。

幻覚・妄想

幻覚とは、実際には存在しないものを見たり聞いたりする状態を指します。たとえば、虫が見える、誰かの声が聞こえるなど、周囲には確認できない体験を現実の出来事として感じる場合があります。

一方、妄想は事実とは異なる内容を強く信じ込んでしまう状態です。なかでも多く見られるのが物を盗まれたと思い込むタイプで、財布や持ち物を隠されたと感じ、家族や介護者を疑ったり強く責めたりする場面もあります。

本人にとって、幻覚や妄想は想像ではなく現実そのものです。そのため体験は非常に生々しく、不安や恐怖を伴うケースも少なくありません。頭ごなしに否定したり無理に訂正しようとしたりすると、混乱や不信感がさらに強まる可能性があります。まずは不安な気持ちに寄り添い、安心できる関わり方を心がける姿勢が大切です。

抑うつ・不安

認知症が進むと、これまで当たり前にできていた生活が思うように送れなくなり、環境の変化にも対応しづらくなります。その結果、気分が落ち込んだり、強い不安を感じたりする場合があります。

以前は楽しんでいた活動への関心が薄れ、外出を避けて閉じこもりがちになったり、表情の変化が乏しくなったりするケースも少なくありません。また、理由がはっきりしない不安に包まれ、落ち着かない様子が続いたり、「家に帰りたい」「どこかへ行きたい」と繰り返し訴えたりすることもあるでしょう。

こうした状態は単なる気分の落ち込みではありません。認知機能の低下によって自分の状況を十分に理解できず、苦しさをうまく言葉にできないために起こります。介護する側は、言葉だけでなく表情や行動の変化にも目を向け、安心して過ごせる環境づくりを心がける姿勢が大切です。

徘徊・落ち着きのなさ

徘徊は、目的がないまま歩き回っているように見えますが、実際にはご本人なりの理由や思いを抱えている場合が少なくありません。

「家に帰らなければ」「仕事へ行かなければ」「誰かを探している」といった気持ちに突き動かされて歩き続けるケースもあれば、身体の違和感や不安感からじっとしていられず動き回る場合もあります。

また、同じ場所を何度も往復するような行動として現れることもあるでしょう。こうした様子は、不安や焦りの表れであると同時に、体を動かしたい気持ちや何かを求めるサインとして現れている可能性も考えられます。

行動の背景にある思いや状態に目を向ける姿勢が、適切な対応につながります。

その他(拒否、無気力など)

BPSDには、これまでに挙げたもの以外にもさまざまな症状がみられます。例えば、食事・入浴・着替えといった介助に対して強く拒む様子が現れる場合も多いでしょう。こうした反応の背景には、手順が理解できない戸惑い、不快な感覚への抵抗、自分の力で行いたいという気持ちなどが関係していると考えられます。

また、物事への関心が薄れ、ぼんやりと過ごす時間が増える無気力な状態も代表的な症状の一つです。さらに、昼と夜の感覚が乱れ、日中に眠りがちになり夜間に活動的になる昼夜逆転や、排泄のタイミングや場所の判断が難しくなる行動がみられることもあります。

こうした変化を理解するためには、表面の行動だけで判断せず、ご本人の体調や心理状態、周囲の環境に目を向ける視点が欠かせません。丁寧に観察を重ねる姿勢が、背景にある要因の把握と適切な対応につながります。

BPSDは起こる原因とは?

BPSD(行動・心理症状)は、認知症の方すべてに必ず現れるわけではありません。実際には、ご本人の体調や心理状態、これまでの経験、生活環境など、さまざまな要素が重なり合いながら現れると考えられています。

周囲から見ると理解しにくい行動に感じられる場合でも、ご本人の中には「そうならざるを得ない理由」や「うまく説明できないつらさ」が存在していることも少なくありません。

ここからは、BPSDが生じる主な背景について、順を追って整理していきます。

身体的要因(病気、痛み、不快感、薬剤など)

認知症の方に見られるBPSDは、身体的な不調がきっかけとなって現れる場合があります。体の違和感やつらさを言葉で十分に伝えられず、行動を通して助けを求めているケースも少なくありません。

たとえば、発熱や感染症、便秘や脱水、空腹、睡眠不足、関節や歯の痛みなどの体調変化が、不安定な様子や興奮として表れることがあります。さらに、服用中の薬の影響が関係する場合もあり、とくに薬の種類が多いときや新たに処方が追加されたときには注意が必要です。

こうした身体の不調は不安や不快感を強め、気持ちを落ち着けにくくする要因にもなります。その結果として、行動や感情の変化が目立ちやすくなると考えられます。

精神的・心理的要因(孤立感、不安、喪失体験など)

認知症が進行すると、ご本人の心の中にはさまざまな戸惑いや感情の揺れが生まれやすくなります。こうした心理的な変化が、BPSDの背景に関わるケースも少なくありません。

記憶があいまいになると、自分の置かれている状況を理解しにくくなり、「なぜここにいるのか」「何が起きているのか」といった混乱や不安を抱えやすくなります。これまで担ってきた役割やできていたことを失う喪失感、周囲との関係がうまくいかないことによる孤立感が、気分の落ち込みや無気力、あるいは興奮として表れる場合も見られるでしょう。

さらに、過去のつらい体験がよみがえり、現実と重なって感じられることで、妄想や幻覚につながる場面も考えられます。こうした心の動きを踏まえ、ご本人が何に戸惑い、どのような思いを抱えているのかに目を向けていく姿勢が大切です。

環境的要因(騒音、慣れない場所、人間関係など)

周囲の環境も、BPSDの発生に大きく関わる要因の一つです。認知症の方は、環境の変化や外部からの刺激に敏感になりやすく、些細な違いでも混乱や不安につながる場合があります。

例えば、騒がしい場所や見慣れない空間、家具や物の配置の変化などは、状況を把握しづらくする要因になります。照明が暗すぎる、あるいは眩しすぎるといった光の問題や、室温の不快さなども落ち着かなさを招く一因となり得ます。

さらに、介護者の声かけや接し方も無視できません。急な呼びかけや命令口調、否定的な言葉、過度な期待は、本人を追い詰める刺激になりやすいものです。その結果、拒否や興奮、攻撃的な反応として現れるケースも見られます。

安心して過ごせる空間を整え、落ち着いた雰囲気の中で関わる姿勢が、症状の安定につながりやすくなります。

認知機能の低下そのもの

BPSDは、認知機能の低下そのものが引き金となって現れる場合もあります。記憶や時間・場所の把握、物事を進める手順を組み立てる力が弱まると、本人の中で現実の理解が揺らぎやすくなるためです。その混乱が行動や感情の変化として表面化することも少なくありません。

例えば、記憶障害があると、直前の出来事を思い出せず、すでに食事を済ませていても「まだ食べていない」と感じてしまう場面が見られます。大切な物の置き場所を忘れ、「盗まれた」と思い込んでしまうケースも珍しくありません。

時間や場所の感覚があいまいになる見当識障害では、自宅にいても落ち着かず「家に帰らなければ」と外へ出ようとする行動につながることもあるでしょう。

さらに、計画や手順を考える力が低下すると、着替えや料理といった日常動作が思うように進まなくなります。戸惑いやいら立ちが強まり、拒否的な態度や不安定な感情として表面化する場合もあります。

こうした認知機能の変化を理解すれば、行動の背景にある戸惑いや不安が見えやすくなるはずです。より適切な関わり方を考える手がかりにもなるでしょう。

介護者が知っておくべきBPSDへの対応策とは

BPSD(行動・心理症状)は、認知症の方の心身の状態や生活環境など、さまざまな要因が重なって現れます。こうした背景を踏まえると、薬による対処だけでなく、日常の関わり方や生活環境を整える視点が欠かせません。

とくに、本人が安心して過ごせるよう支える非薬物療法は重要な役割を担います。ここからは、介護者が日常の中で取り入れやすい具体的な対応の工夫を紹介していきます。

基本的な関わり方:傾聴、共感、受容

認知症の方と向き合う際に何より大切なのは、言葉や行動の奥にある感情や思いをくみ取ろうとする姿勢です。意味がすぐに理解できなくても、まず否定せずに耳を傾け、気持ちに寄り添いながら受け止める態度が安心感につながります。

たとえば「家に帰りたい」と訴えた場合、「ここが家ですよ」と強く否定するのではなく、「帰りたくなるほど寂しい気持ちなんですね」と共感を示し、「少しゆっくり過ごしてみませんか」と穏やかに声をかけます。気持ちを受け止めてもらえたと感じると、不安がやわらぎ、落ち着きを取り戻しやすくなるでしょう。

環境を整える:安心・安全な空間作り

認知症の方にとって、見慣れない環境や刺激の多い場所は混乱や不安を招きやすく、BPSDの引き金になる場合があります。安心して過ごせる空間づくりが、日々の落ち着きに大きく関わります。

室内の照明は明るすぎず暗すぎない穏やかな明るさに調整し、室温も快適な状態を保ちましょう。大きな音や騒がしさを避け、静かで落ち着ける雰囲気を整える配慮も欠かせません。さらに、段差を減らしたり、つまずきやすい物を片付けたりと、安全面への気配りも重要になります。

徘徊が見られる場合は、玄関の施錠方法を工夫したりセンサーを設置したりする方法も効果的です。ただし行動を過度に制限するとストレスを強めてしまう可能性もあります。見守りと自由のバランスを意識しながら、安心して動ける環境を整えていく姿勢が求められます。

行動の背景を理解し、受け止める

BPSDは、認知症の方から発せられるSOSとして現れる場面が少なくありません。身体の不調を言葉でうまく伝えられない苦しさや、心の不安、過去の記憶の混乱などが、行動として表面化するケースが多く見られます。

例えば、急な興奮が生じた場合、体のどこかに痛みを抱えている可能性も考えられます。あるいは、不安を強める出来事に直面している状況も想定できるでしょう。物を隠す行動も、大切なものを守ろうとする心理の表れと理解できます。

介護者には、行動の背後にある理由を丁寧に読み取り、ご本人が何を伝えようとしているのかを探る姿勢が求められます。背景への理解が深まれば、より適切な関わり方も見えてくるはずです。

具体的で分かりやすいコミュニケーション

認知機能が低下すると、複雑な指示や抽象的な表現の理解が難しくなります。やり取りでは、短く簡潔で分かりやすい言葉を選ぶ姿勢が欠かせません。

指示は一度にまとめて伝えず、順序を区切って示す方法が有効です。たとえば「まず椅子に座りましょう」「次にこれを食べましょう」といったように、具体的な行動を一つずつ提示すると理解しやすくなります。

言葉だけに頼らず、指差しやジェスチャー、イラストなど視覚的な手がかりを添える工夫も効果的です。さらに、表現は肯定的な形を意識すると安心感につながります。「〜してはいけません」ではなく「〜しましょう」と提案する言い方が望ましいでしょう。

レクリエーションやリハビリテーションの活用

活動を通して心身を刺激することは、精神的な安定や残存機能の維持に繋がり、BPSDの軽減に役立ちます。ご本人の興味や得意なことに合わせたレクリエーションやリハビリテーションを取り入れましょう。

例えば、昔好きだった歌を一緒に歌ったり、手先を使う簡単な作業(洗濯物をたたむ、野菜の皮をむくなど)をお願いしたりするのも良いでしょう。散歩などの軽い運動は気分転換になり、睡眠リズムを整える効果も期待できます。回想法といって、昔の出来事を語り合うことで、精神的な安定や自己肯定感に繋がることもあります。無理強いせず、ご本人が楽しめることを一緒に見つけることが大切です。

【NG対応】やってはいけない接し方とその理由

BPSDへの対応では、介護者が気づかないうちに取ってしまう関わり方があります。そうした接し方は、ご本人の混乱や不安を強め、症状の悪化を招く要因になりかねません。

結果として介護の負担が増し、関係性がぎくしゃくしてしまう場面も見られます。望ましい関わりへとつなげるためには、避けたい対応をあらかじめ理解しておく視点が欠かせないでしょう。

以下のNGポイントを意識しながら接していく姿勢が大切です。

否定する・叱責する

ご本人の発言や認識を頭ごなしに否定したり、強い口調で叱ったりすると、不信感や恐怖が増幅しやすくなります。認知症では現実の受け取り方が変化しており、本人にとってはその体験が事実として感じられています。否定される体験は、自分自身を拒絶された感覚につながりやすく、興奮や攻撃的な反応を招く要因にもなりかねません。

論理で説得しようとする

理屈や証拠を示して説明しても、記憶や理解の働きが低下している場合、内容を十分に受け止められない場合があります。論理的な説明を重ねるほど混乱が深まり、無力感や苛立ちが強まるケースも少なくありません。正しさを示す行為が、かえって心の負担を増やしてしまう可能性があります。

無理に従わせようとする

一方的な指示や急かしは、抵抗感や不安を強めやすい関わり方です。認知症があっても本人の意思やペースは存在します。それを無視した対応は拒否や混乱を招き、結果的に行動が難しくなる場合もあります。主体性が尊重されない状況は、安心感の低下にもつながりやすいものです。

できない理由を問い詰める

認知機能の低下による困難は、本人の努力や意欲とは無関係に生じます。それにもかかわらず理由を追及されると、自尊心が深く傷つきやすくなります。繰り返し問い詰められる体験は自己否定感を強め、抑うつや意欲低下を招く恐れもあるでしょう。

BPSDに対する薬物療法とは

BPSDへの対応は、まず環境調整やコミュニケーションの工夫といった非薬物療法が基本となります。しかし、非薬物療法だけでは症状の改善が見られない場合や、ご本人や周囲に危険が及ぶような症状が強く現れる場合には、薬物療法が選択肢となります。

薬物療法の役割と目的

薬物療法は、BPSDによってご本人の生活の質(QOL)が著しく低下している場合や、介護者の負担が限界に達している場合などに導入が検討される手段です。その主な目的は、興奮、攻撃性、幻覚、妄想、重度の抑うつといった症状を緩和し、ご本人がより穏やかに、安全に日常生活を送れるようにすること、そして介護者の負担を軽減することにあります。

薬は症状を完全に消し去るものではなく、あくまで症状をコントロールするための補助的な手段として用いられます。

主な薬剤の種類と効果

主な薬剤の種類と効果については、現れている症状に合わせて選択されます。BPSDの状態は人によって異なるため、医師が全身状態や生活への影響を踏まえながら慎重に判断します。

抗精神病薬

興奮や攻撃性、幻覚、妄想など、精神症状が強い場合に使用されます。脳内の神経伝達物質の働きを調整し、過度な刺激や混乱を和らげる目的で処方される薬です。症状の落ち着きが期待されますが、副作用の有無を見ながら慎重に調整されます。

抗うつ薬

気分の落ち込みや意欲低下、不安感が目立つ場合に用いられる薬です。主にセロトニンなどの神経伝達物質へ作用し、感情の安定を促します。抑うつ傾向が続くと生活全体に影響しやすいため、心の状態を整える支援として活用されます。

抗不安薬・睡眠薬

強い不安や焦燥感、不眠が続く場合に短期間使用されるケースがあります。比較的早く作用する点が特徴ですが、長期使用では依存や副作用への配慮が必要です。使用期間や量は医師の管理のもとで慎重に調整されます。

薬物療法の注意点と副作用

薬物療法は症状の緩和に役立つ可能性がある一方、副作用への注意も欠かせません。とくに高齢の認知症の方は薬に敏感に反応しやすく、少量でも影響が現れやすい傾向があります。体調の変化を丁寧に観察しながら進める姿勢が重要です。

代表的な副作用として、筋肉のこわばりや手足の震え、姿勢の崩れなどがみられる錐体外路症状があります。また、強い眠気やふらつきが生じて活動量が低下する場合もあります。こうした影響は転倒リスクの上昇にもつながりやすく、日常生活への注意が必要です。薬の種類によっては、認知機能がかえって低下するケースも報告されています。

さらに、複数の薬を同時に使用する多剤併用では、副作用の出現や薬同士の相互作用による予期しない症状が起こりやすくなります。治療を始める際は、薬の効果や注意点を医師と十分に確認し、納得したうえで進める姿勢が大切です。

その後も定期的な診察を受け、体調の変化や気になる症状を伝えるようにしましょう。状況に応じて薬の量や種類を見直しながら、安全性の確保が求められます。

BPSDの予防と早期対応の重要性とは

BPSDは、一度発症するとご本人や介護者の負担が大きくなる傾向があります。そのため、症状が出現する前から予防に努めたり、初期のサインを見逃さずに早期に対応したりすることが不可欠です。

健康的な生活習慣の維持

認知症の進行をゆるやかにし、BPSDの予防を目指すうえでは、日々の生活習慣が大きな鍵になります。以下の点に留意し、健康的な生活を心がけましょう。

バランスの取れた食事

脳の健康を支えるためには、栄養の偏りを防ぐ食生活が重要です。DHAやEPAを多く含む魚、抗酸化作用のある野菜や果物を意識して取り入れるとよいでしょう。塩分や糖質の摂り過ぎを控え、体への負担を減らす工夫も欠かせません。

適度な運動

ウォーキングや軽い体操など、負担の少ない運動を習慣化すると血行が促され、脳の働きの活性化が期待できます。継続できる内容を選び、楽しみながら体を動かす姿勢が大切です。

十分な睡眠

質のよい睡眠は脳の疲労回復に欠かせない要素です。就寝時間と起床時間をできるだけ一定に保ち、生活リズムを整えると安定しやすくなります。落ち着いた環境づくりも睡眠の質を左右します。

社会参加と脳の活性化

人との交流や趣味活動は、脳に適度な刺激を与え、認知機能の維持に役立ちます。地域活動への参加や新しい挑戦もよい刺激になるほか、長く続けてきた趣味を楽しむ時間も心の安定につながります。

早期発見・早期対応のメリット

BPSDの兆候を早い段階で捉え、適切な対応へつなげる姿勢は、症状の進行を抑え、ご本人と介護者双方の生活の質を守るうえで欠かせません。小さな変化への気づきが、その後の安定した生活を支える大切な手がかりになるでしょう。

例えば、これまで楽しんでいた活動への関心が薄れる、急に怒りやすくなる、夜間に何度も目覚めて落ち着かない様子が続くなど、些細に見える変化が初期サインとして現れる場合があります。

早めに専門医へ相談すれば、症状が軽いうちから適切な対応を始めやすくなります。薬物療法が必要な場面でも少量で調整できる可能性があり、環境調整や関わり方の見直しといった非薬物的支援も効果を発揮しやすくなるはずです。

さらに、介護者も早期から対応の知識を身につけ、心の準備を整えられます。不安が軽減され、結果として介護負担の緩和にもつながっていくでしょう。

BPSDの介護者の負担を軽減する方法とは

認知症の家族を介護することは、時に大きな喜びを感じる一方で、身体的・精神的に大きな負担を伴うことも少なくありません。特にBPSDへの対応は、介護者の心身を疲弊させてしまうことがあります。しかし、介護者が健康でなければ、質の高い介護を続けることは困難です。ここでは、介護者自身が心身の健康を保ち、利用できるサポートを活用する方法について解説します。

介護者自身のセルフケア

介護を続けるうえで欠かせないのが、介護者自身の心身の健康を守る視点です。自分を労わるセルフケアは単なる休息ではなく、介護を無理なく続けるための土台づくりともいえます。ストレスのサインに気づいた段階で早めに整える意識が、結果として介護の質の安定にもつながります。日常の中で取り入れやすいセルフケアを意識してみてください。

十分な休息と睡眠

睡眠不足は心身のバランスを崩しやすく、疲労の蓄積にも直結します。まとまった時間が取れない場合でも、短時間の休息を意識的に確保すると回復しやすくなります。眠る環境を整え、できる範囲で睡眠の質を高めていきましょう。

趣味や気分転換の時間

介護から一時的に離れ、自分の好きな活動に集中する時間も大切です。趣味やリラックスできる習慣は、気持ちの切り替えを助け、精神的な余裕を取り戻すきっかけになります。

適度な運動

軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない運動でも十分な効果が期待できます。体を動かす習慣は血行を促し、気分のリフレッシュにも役立つでしょう。

栄養バランスの整った食事

忙しい日が続いても、食事の質はできるだけ意識したいところです。栄養が偏ると疲れやすくなり、体調管理が難しくなります。簡単でも整った食事を心がけたいものです。

感情を外に出す

不安や疲れを一人で抱え続けると、心の負担は大きくなります。信頼できる家族や友人、専門職に気持ちを話すだけでも、心が軽くなる場合があります。誰かと共有する時間も大切なセルフケアの一つです。

相談できる専門家や支援サービス

BPSDへの対応や介護の悩みを抱え込まず、専門家や支援サービスを活用する視点が大切です。早い段階で相談先につながれば、負担の軽減や具体的な対処のヒントが得られやすくなります。状況に応じて頼れる窓口を知っておくと安心です。

医師・看護師

症状の急な変化や薬の調整を検討したい場合は、まず医療職への相談が基本となります。身体的な不調が行動や心理の変化に影響している可能性もあるため、定期的な健康確認も欠かせません。医学的な視点から原因を整理し、適切な治療や対応を提案してもらえます。

ケアマネージャー

介護保険サービスの利用計画を立てる専門職です。ショートステイやデイサービスの導入など、生活状況に合った支援を組み立ててくれます。地域の制度やサービスにも詳しく、困りごとの最初の相談先として頼りやすい存在です。

作業療法士・理学療法士

身体機能や生活環境に合わせたリハビリや活動の提案を行います。日常生活を続けやすくする工夫や、心身の安定につながる取り組みを取り入れながら、症状の軽減を目指します。生活の質を高める支援が期待できます。

精神保健福祉士

本人や家族の心理的な負担に寄り添い、相談支援や制度の活用をサポートします。生活面・精神面の両方を視野に入れた助言が得られ、支援機関との橋渡し役にもなります。

地域包括支援センター

高齢者に関する総合相談窓口として機能しています。介護の悩みや利用できる制度、地域資源の紹介など幅広く対応してもらえます。無料で相談できる点も大きな安心材料です。

認知症カフェ・家族会

同じ立場の人と情報交換や交流ができる場です。経験を共有し合う中で気持ちが軽くなる場合も多く、孤立感の緩和にもつながります。日々の関わりのヒントを得る機会にもなります。

介護保険サービス(ショートステイ・デイサービスなど)

一時的な宿泊利用ができるショートステイや、日中の通所支援を受けられるデイサービスなどがあります。介護者の休息確保と本人の生活リズムの安定を両立しやすく、継続的な介護を支える重要な仕組みです。

まとめ:BPSDとは何かを理解し、より良い関係を築こう

ここまで、BPSD(行動・心理症状)の定義や主な症状、身体・心理・環境に関わる要因、具体的な対応の工夫、薬物療法の位置づけ、予防の視点、さらに介護者のセルフケアや支援サービスまで幅広く整理してきました。

BPSDは認知症の一側面であり、ご本人が抱える困難の表れでもあります。原因を正しく理解し、適切に関われば、症状の緩和と穏やかな生活は十分に目指せます。抱え込まず支援を活用しながら、安心できる日常を少しずつ整えていきましょう。お悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者

院長 根木 淳

愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手金融機関に勤務。2005年、秋田大学医学部卒業後、名古屋市立大学医学部精神科に入局。八事病院、三重県立子ども心身発達医療センターなどで研鑽を積む。京都大学医学部大学院とfMRIによる精神症状の脳機能の共同研究を経て慶應義塾大学大学院精神・神経科に入局。東京大学工学系研究科と連携して自動車運転の認知機能と安全性についての研究を行う。大学病院での診療、戸田病院、秋元病院、ガーデンクリニックなどでの診療業務に併行して、外資系及び国内大手IT企業、外資系大手コンサルティングファーム、テレビ・インターネット通販企業、都市銀行、国内大手証券会社、総合商社、特許翻訳・知財コンサル系企業、建設コンサルタント企業、広告代理店、大手旅行代理店、独立行政法人(公的法務支援機関)、大手不動産、大手企業信用調査会社、グローバルEC系企業、大手アパレル企業、国内最大手スーパーなど、都心大企業を中心に50社以上の産業医として企業のメンタルヘルスに従事。令和2年5月、北越谷駅前さくらメンタルクリニック院長に就任。併行して産業医業務に従事している。 【資格・所属学会など】 日本精神神経学会専門医・指導医 精神保健指定医 日本医師会認定産業医 日本老年精神医学会専門医・指導医

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