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「うつ病の治療を始めてから、体重が増えてきた気がする」「抗うつ薬を飲むと太ると聞いて不安」——そんな思いから、この記事にたどり着いた方は少なくないかもしれません。うつ病やその治療にともなって体重が変化することがあり、気になって調べる方も多いテーマです。
ただ、うつ病で太る背景には、薬の影響だけでなく、症状そのものや回復の過程など、いくつかの要因が関わっていると考えられています。
この記事では、うつ病で太るとされる原因を整理し、抗うつ薬との関係や、無理のない範囲でできる対策までをわかりやすくお伝えします。体重の変化に一人で悩まず、冷静に向き合うための手がかりになれば幸いです。
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うつ病で太る原因は一つではない

「うつ病 太る」と検索する方の多くは、「薬のせいで太るのか」を気にしています。しかし、うつ病に関連した体重増加は、一つの原因で起こるわけではなく、いくつかの要因が複雑に関わっていると考えられています。
主な要因としては、抗うつ薬の影響、うつ病の症状としての過食、回復にともなう食欲の戻り、活動量や代謝の低下などが挙げられます。「太った=薬のせい」と決めつける前に、自分の状況にどの要因が関わっていそうかを整理してみることが大切です。まずは、それぞれの要因をみていきましょう。
関連記事:うつ病の過食になる理由とは?食欲コントロールと心の回復を目指す方法
要因① 抗うつ薬の影響

うつ病で太る要因としてよく知られているのが、抗うつ薬の影響です。ただし、抗うつ薬が太りやすいのは、糖の代謝に異常を起こすからではなく、主に食欲を増進させたり、リラックスさせたりする作用によるものとされています。
食欲が増す仕組み(ヒスタミンとグレリン)
抗うつ薬の中には、ヒスタミンという物質の働きをブロックするものがあります。ヒスタミンは、脳の視床下部にある満腹中枢を刺激する物質です。これがブロックされると、満腹感が得にくくなり、食べすぎにつながることがあります。さらに、ヒスタミンがブロックされると、食欲を増やす働きのある「グレリン」というホルモンが増えるとされ、これも食欲の増進に関わると考えられています。
穏やかになることで活動量が減ることも
セロトニンに作用する薬では、気持ちが穏やかになることで、結果として活動量が減り、太りやすくなることがあるとされています。ただし、これは代謝に直接影響するというより、生活全体の変化によるものです。一方で、ノルアドレナリンを増やして意欲を高めるタイプの薬では、活動的になり、体重増加がみられることは比較的少ないとされています。薬によって、太りやすさの傾向には差があるのです。
薬による太りやすさの傾向
抗うつ薬は種類によって、体重への影響の傾向が異なるとされています。代表的な傾向を表に整理します。なお、効果や副作用の出方には個人差が大きく、あくまで一般的な傾向です。
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種類 |
体重への影響の傾向 |
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三環系抗うつ薬 |
食欲増進・体重増加がみられやすいとされる |
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ミルタザピン(四環系の一種) |
食欲増進の作用があり、体重が増えやすいことがある |
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SSRI・SNRI |
比較的、体重増加の影響は少ないとされる |
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一部の新しい抗うつ薬 |
体重への影響が比較的少ないとされるものもある |
どの薬を使うかは、症状や体質、合併症などを踏まえて医師が判断します。「太りにくい薬がいい」という希望も、医師に伝えてよい情報です。
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要因② うつ病の症状としての過食

体重の増加は、薬だけでなく、うつ病の症状そのものによって起こることもあります。
うつ病というと食欲が落ちるイメージが強いですが、特に「新型うつ」「非定型うつ」と呼ばれるタイプでは、逆に食欲が増し、過食につながることがあるとされています。つらい気持ちを紛らわせるために食べてしまう、甘いものや炭水化物が無性に欲しくなる、といった形であらわれることもあります。これは意志が弱いからではなく、うつ病の症状の一部である可能性があります。自分を責めるのではなく、症状として理解することが大切です。
要因③ 回復にともなう食欲の戻り
意外に思われるかもしれませんが、体重が増えることが「回復のサイン」である場合もあります。
うつ状態のときは、食欲がなくなって体重が減ってしまう方が多くいます。その後、治療によって心身が回復していく過程で、食欲が戻り、本来の健康的な食事量に近づいていくことがあります。その結果として体重が増えるのは、回復が進んでいる前向きな変化とも言えます。「太った」とネガティブに捉えすぎず、「元気が戻ってきたサイン」として受け止められる場合もあるのです。
要因④ 活動量・生活リズムの変化
うつ病の療養中は、外出や運動の機会が減り、家で過ごす時間が長くなりがちです。
意欲の低下によって体を動かすことが難しくなり、活動量が減ると、消費するエネルギーも少なくなります。また、生活リズムが乱れ、食事の時間が不規則になったり、夜遅くに食べたりすることも、体重に影響することがあります。これらは療養中には自然に起こりやすいことであり、回復の段階に応じて少しずつ整えていけばよいものです。療養初期から無理に運動しようとする必要はありません。
逆に「痩せる」こともある
ここまで「太る」要因を中心に見てきましたが、うつ病では逆に体重が減ることも少なくありません。これも知っておくと、自分の状態を理解しやすくなります。
うつ状態のときは、食欲そのものが落ち、食事がとれずに体重が減ってしまう方が多くいます。何を食べても味を感じにくい、食べること自体が億劫になる、といった形であらわれることもあります。急激に体重が減る場合は、栄養が不足して体力が落ち、回復の妨げになることもあるため、注意が必要です。つまり、うつ病では「太る」「痩せる」のどちらの方向にも体重が変化し得るということです。大切なのは、体重の数字そのものよりも、極端な変化が続いていないか、体調に影響が出ていないかに目を向けることです。気になる変化が続くときは、主治医に伝えるとよいでしょう。
「太るから」と自己判断で薬をやめないことが大切
体重の増加が気になると、「薬のせいだから、やめてしまおう」と考えたくなるかもしれません。しかし、これは避けたい対応です。
「この薬は太るから」と自己判断で薬を減らしたり中止したりすると、うつの症状が悪化し、かえって薬が必要な期間が延びてしまうこともあります。また、急な中止は別の不調を招くこともあります。体重増加が気になるときは、自己判断せず、まず主治医に相談することが大切です。「体重が増えて気になる」「太りたくない」と伝えることは、決して恥ずかしいことではありません。医師に伝えることで、太りにくい薬への変更や用量の調整など、一緒に対策を考えてもらうことができます。体重への考え方には個人差があり、本人と医師の受け止め方にギャップがあることもあるため、気になることはきちんと言葉にして伝えましょう。
まずは「どの要因か」を見極める
体重の変化に向き合うとき、最初に役立つのが、「自分の場合は、どの要因が関わっていそうか」を整理してみることです。要因によって、適した対応が変わってくるためです。
たとえば、薬を始めてから急に食欲が増した場合は、薬の影響が大きいかもしれません。つらい気持ちを紛らわせるために食べてしまうなら、症状としての過食の側面があるかもしれません。
うつ状態で減っていた食欲が戻ってきたのであれば、回復の過程とも考えられます。家にこもりがちで活動量が減っているなら、生活リズムの影響もあるでしょう。これらは一つだけとは限らず、複数が重なっていることもあります。自分一人で判断しきれないことも多いため、気になる変化は記録しておき、主治医に伝えると、原因の整理や対策の相談に役立ちます。
体重の変化への向き合い方・対策
抗うつ薬による体重増加は、糖の代謝に異常を起こすわけではないとされ、食べた量以上に極端に太ってしまうことは少ないと考えられています。そのため、生活面で意識することで、変化をゆるやかにしていくことは可能とされています。
ここでは、無理のない範囲でできる工夫を紹介します。ただし、療養の段階によっては、まず休養を優先すべき時期もあるため、取り入れるタイミングは主治医と相談してください。
食事面での無理のない工夫
- 満腹感が得にくいときは、よく噛んでゆっくり食べることを意識する
- 食事の時間をできるだけ規則的にする
- 夜遅い時間の食事を控えめにする
- 極端な食事制限はせず、バランスを意識する
生活リズム・活動面の工夫
回復が進んできた段階では、散歩などの軽い運動を、無理のない範囲で取り入れることが、気分を整えるとともに、体重の管理にも役立つことがあります。また、睡眠リズムを整えることも、生活全体のバランスを保つうえで意味があります。大切なのは、「やせなければ」と自分を追い詰めないことです。療養中は心身の回復が最優先であり、体重の管理はあくまで無理のない範囲で行うものと考えてください。
体重を気にしすぎないことも大切
体重の変化は気になるものですが、気にしすぎることが、かえって心の負担になってしまうこともあります。
うつ病の療養中は、まず心身を回復させることが何よりも大切な時期です。「太ってしまった」と自分を強く責めたり、無理なダイエットに走ったりすると、回復の妨げになることもあります。体重の変化を、回復の過程で一時的に起こり得るものとして、おおらかに受け止める視点も大切です。もし体型や体重へのとらわれが強く、つらく感じる場合は、その気持ちも含めて主治医に相談してみてください。一人で抱え込まず、専門家と一緒に向き合っていくことが、心の負担を軽くする助けになります。
ご家族・周囲ができること
身近な人がうつ病の療養中に体重の変化を気にしているとき、家族の関わり方も支えになります。
体重が増えたことに対して、「食べすぎ」「だらしない」といった言葉をかけると、本人を傷つけ、自己否定を強めてしまうことがあります。過食や活動量の低下は、うつ病の症状や療養にともなう自然な変化である場合が多いため、責めるのではなく、まずはそのつらさを受け止める姿勢が大切です。
逆に、食欲が落ちて痩せてしまっている場合も、無理に食べさせようとするとプレッシャーになることがあります。本人のペースを尊重しつつ、心配なことがあれば一緒に主治医に相談する、という関わりが助けになります。対応に迷うときは、家族だけで抱え込まず、専門家に相談することも一つの方法です。
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うつ病と体重に関するよくある疑問
最後に、うつ病と体重についてよく寄せられる疑問を整理して紹介します。いずれも一般的な考え方であり、個別の状況については専門家への相談が前提となります。
薬をやめれば、体重は戻る?
薬による食欲増進の影響であれば、薬の調整によって食欲が落ち着き、体重の変化がゆるやかになることがあります。ただし、自己判断で中止するのは避け、必ず主治医と相談してください。薬の変更や調整も含め、一緒に対策を考えることができます。
太りにくい薬に変えてもらえる?
抗うつ薬には種類があり、体重への影響の傾向はさまざまです。医師に「太るのが心配」と伝えれば、比較的太りにくいとされる薬への変更や、用量の調整を検討してもらえることがあります。ただし、薬は症状との相性も大切なので、効果とのバランスを見ながら決めていくことになります。
太ったのは薬のせい?回復のサイン?
どちらの可能性もあります。薬の食欲増進作用による場合もあれば、うつ状態で減っていた食欲が回復して、健康的な体重に戻る過程の場合もあります。見分けが難しいこともあるため、気になるときは経過を主治医に伝え、一緒に整理していくとよいでしょう。
まとめ|体重の変化に、一人で悩まず向き合う
「うつ病 太る」というキーワードの背景には、「薬のせいなのか」「どうすればいいのか」という不安があります。うつ病に関連した体重増加は、抗うつ薬の食欲増進作用、うつ病の症状としての過食、回復にともなう食欲の戻り、活動量の低下など、複数の要因が関わって起こると考えられています。中には、食欲が戻って体重が増えることが、回復のサインである場合もあります。
大切なのは、「太るから」と自己判断で薬をやめないこと、そして体重を気にしすぎて自分を追い詰めないことです。気になることは、恥ずかしがらずに主治医に伝え、一緒に対策を考えていきましょう。療養中はまず心身の回復が最優先です。
つらさや不安を感じているなら、それは相談してよいサインです。どうか一人で抱え込みすぎず、まずは主治医に声をかけてみることから始めてみてください。
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