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「やめたいのにギャンブルがやめられない」「借金を繰り返しているのにまたパチンコに行ってしまう」――こうした状態は、意志の弱さや道徳観の欠如ではなく、「ギャンブル依存症」という治療を要する精神疾患である可能性があります。しかし、ギャンブル依存症で病院に行くべきなのか、何科を受診すればよいのか、どのような治療が行われるのかがわからず、受診をためらっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、ギャンブル依存症の症状や原因、病院に行くべきタイミング、受診先となる診療科、治療の流れや利用できる支援制度までを詳しく解説します。
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ギャンブル依存症とは?意志の弱さではなく病気

ギャンブル依存症で病院に行くべきかを判断するうえで、まず「ギャンブル依存症は病気である」という認識を持つことが出発点となります。
ギャンブル依存症の定義と診断基準
ギャンブル依存症は、正式には「病的賭博」あるいは「ギャンブル障害」と呼ばれ、WHOのICD-10やアメリカ精神医学会のDSM-5において精神疾患として分類されています。経済的・社会的・精神的な問題が生じているにもかかわらず、ギャンブルをやめることができない状態を指し、パチンコ、スロット、競馬、競輪、競艇のほか、近年ではオンラインカジノやFXへの過度なのめり込みが問題となるケースも増えています。
DSM-5の診断基準では、「興奮を得るために掛け金の額を増やしていく」「ギャンブルをやめようとしたが成功しなかった」「ギャンブルで失った金を取り戻すためにさらにギャンブルをする」「ギャンブルのために人間関係や仕事、学業を危険にさらした」など、複数の項目に該当する場合にギャンブル依存症と診断される可能性があります。
「意志が弱い」のではなく脳の問題
ギャンブル依存症は長年、「意志が弱いから」「だらしないから」と本人の人格の問題として捉えられてきました。しかし現在では、脳の報酬系と呼ばれる神経回路の機能異常が関与していることがわかってきています。ギャンブルで勝ったときに分泌されるドーパミンが脳に強い快感を与え、その快感を繰り返し求めるうちに、自分の意志だけではコントロールできない状態に陥るのです。
この点はアルコール依存症や薬物依存症と共通するメカニズムであり、「やめたいのにやめられない」という状態は、脳の機能的な問題に起因するものとして理解されています。したがって、ギャンブル依存症は意志の力だけで解決するものではなく、専門的な治療が必要な病気であるといえます。
ギャンブル依存症の主な症状

ギャンブル依存症で病院に行くべきかどうかを見極めるために、代表的な症状を確認してみましょう。
行動面に現れる症状
ギャンブル依存症の方には、いくつかの特徴的な行動パターンがみられます。ギャンブルに費やす時間や金額がエスカレートしていく、ギャンブルの資金を得るために借金を繰り返す、家族にギャンブルの金額や頻度をごまかす・隠す、ギャンブルをしていないときも次のギャンブルの計画や攻略法を考えている、ギャンブルで負けた分を取り戻そうとさらにギャンブルを続ける(追いかけ行動)などが典型的です。
精神面・生活面に現れる症状
精神面では、ギャンブルができないときのイライラや落ち着きのなさ(離脱症状に相当する反応)、ギャンブルで借金がかさむことへの罪悪感や自己嫌悪、うつ症状の併発などがみられることがあります。生活面では、仕事や学業への支障、人間関係の悪化、家庭崩壊、さらには犯罪行為(横領、詐欺など)に至るケースもあり、問題は本人だけでなく家族や周囲の人にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
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ギャンブル依存症の原因

ギャンブル依存症が生じる原因は一つではなく、生物学的・心理的・環境的な要因が複合的に関与していると考えられています。
脳の報酬系と神経伝達物質
前述のとおり、ギャンブルで勝利したときの快感はドーパミンの分泌と深く関わっています。依存が進行すると、通常の活動ではドーパミンが十分に分泌されなくなり、より強い刺激(より大きな掛け金、よりリスクの高い賭け)を求めるようになります。また、セロトニンやノルアドレナリンなど他の神経伝達物質のバランスの乱れも関係しているとする研究があります。
心理的・環境的要因
ストレスからの逃避やストレス解消の手段としてギャンブルに依存するケースも多くみられます。仕事や人間関係のプレッシャー、孤独感、退屈さなどがギャンブルへの没頭のきっかけとなることがあります。また、ギャンブルが身近にある環境(パチンコ店が近所にある、ギャンブル好きの友人がいるなど)も、依存を強める要因の一つです。
さらに、うつ病や不安障害、ADHDなどの精神疾患が背景にある場合、衝動性の高さやストレス耐性の低さが依存を加速させることもあるとされています。
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ギャンブル依存症で病院に行くべきタイミング
以下のような状態に心当たりがある場合は、ギャンブル依存症で病院に行くべきタイミングが来ている可能性があります。ギャンブルの頻度や金額がエスカレートしてコントロールできない、借金が膨らみ返済が困難になっている、ギャンブルのために仕事を休んだり家庭をおろそかにしている、家族から問題を指摘されても行動を変えられない、ギャンブルをやめようとしたが何度も失敗しているなどです。
本人に自覚がない場合も多いため、ご家族が異変に気づいて相談に訪れるケースも少なくありません。「本人が受診を拒否している」という場合でも、まずはご家族だけで専門機関に相談することが可能です。家族が適切な対応法を学ぶことで、結果的に本人の受診につながるケースもあります。
ギャンブル依存症は何科を受診すればよい?
ギャンブル依存症で病院に行くべきと判断した場合、受診先は精神科が基本です。依存症の診療を行っている精神科クリニックや、依存症専門外来を設けている病院を選ぶことで、より専門的な評価と治療を受けることが可能です。
久里浜医療センター(国立病院機構)をはじめ、各都道府県には「依存症専門医療機関」として選定された医療機関があります。お住まいの地域の精神保健福祉センターに連絡すれば、近隣の専門医療機関を紹介してもらうことができます。保健所でもギャンブル依存症に関する相談を受け付けていますので、最初の窓口として利用するのもよいでしょう。
ギャンブル依存症の治療の流れ
ギャンブル依存症で病院を受診した場合、一般的に以下のような流れで治療が進められます。
問診・心理検査・身体検査
初診では、ギャンブルの使用状況(種類、頻度、金額)、生活への影響、借金の状況、合併する精神疾患の有無などを医師が確認します。心理検査では性格傾向や依存の重症度が評価され、身体検査(血液検査、心電図など)によって身体面の健康状態も確認されます。
認知行動療法を中心とした治療プログラム
ギャンブル依存症の治療には、認知行動療法が有効とされています。多くの専門医療機関では、全6回程度の標準的治療プログラムが用意されており、ギャンブルに対する考え方の偏り(「次こそ勝てる」「負けた分を取り戻せる」など)に気づき、健全な思考パターンに修正していくアプローチが行われます。
また、ギャンブルの衝動が起きたときの対処法や、ストレスとの向き合い方、再発防止策なども学びます。外来通院で治療を受けられる場合が多いため、仕事や家事を続けながら取り組むことも可能です。症状が重い場合は、数週間から数か月の入院治療が検討されることもあります。
自助グループの活用
GA(ギャンブラーズ・アノニマス)をはじめとする自助グループは、同じギャンブル依存の問題を抱える当事者同士が集まり、互いの経験を共有しながら回復を目指すグループです。医療機関での治療と並行して自助グループに参加することで、孤立感の軽減や再発防止に役立つとされています。ご家族向けには「ギャマノン」という家族の自助グループも活動しています。
家族への支援と対応のポイント
ギャンブル依存症の治療では、家族への支援も欠かせない要素です。多くの家族が「本人が反省するはず」と考えて借金を肩代わりしてしまいますが、これは「イネイブリング(問題行動を可能にしてしまう行為)」と呼ばれ、依存をさらに助長するおそれがあります。本人の借金は本人に向き合わせることが、立ち直りの契機となる場合もあります。
家族が依存症への正しい理解を深め、効果的な対応を学ぶための「CRAFT(クラフト)」と呼ばれる家族向けプログラムを実施している医療機関もあります。借金問題については、法テラスや弁護士会の無料法律相談、消費者ホットラインなどの専門窓口を活用することも有効です。
利用できる支援制度
ギャンブル依存症の治療は保険適用で受けられますが、通院が長期にわたる場合は「自立支援医療制度(精神通院医療)」を申請することで、医療費の自己負担を3割から1割に軽減できる可能性があります。経済的な負担を抑えながら治療を継続するために、この制度の活用を検討されるとよいでしょう。
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まとめ
ギャンブル依存症は、意志の弱さではなく、脳の報酬系の機能異常が関与する治療を要する精神疾患です。「やめたいのにやめられない」「借金を繰り返している」「家族関係が悪化している」といった状態が続いている場合は、ギャンブル依存症で病院に行くべきタイミングが来ている可能性があります。
受診先は精神科が基本であり、依存症専門外来や精神保健福祉センターへの相談も有効です。治療は認知行動療法を中心に、自助グループや家族支援を組み合わせて行われます。本人が受診に前向きでない場合も、まずはご家族だけで専門家に相談することが改善への第一歩となります。一人で、あるいはご家族だけで抱え込まず、専門家の力を借りることで、ギャンブルに支配されない生活を取り戻せる可能性があります。お悩みの方は、まずは心療内科や精神科にお気軽にご相談ください。
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